小説 マンガ中心駄文

□わがままな恋し人
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「 ちっ…… 」


苛立つ気持ちを抑えきれずに舌打ちをしてしまう。

その時 運悪く?近くを通りかかった教団員が神田の舌打ちに驚き手に持っていた書類を廊下に撒き散らした。

書類を撒き散らした教団員は半泣きになりながら落とした書類を鷲掴みしてヒイィィーーーーーっと悲鳴を上げながら神田の前から姿を消していった。

逃げていく教団員を見ながらまた舌打ちをする。


「 ……ちっ! 」


常日頃から周りにどう思われているかそれなりに自覚している神田だが先程の教団員の態度に落ち込む……ことも勿論なく更に苛立ちを募らせる。


今の神田には目に映るもののほとんどが神経を逆なでしているように感じられた。

任務からホームに戻り可愛い(絶対に口にすることはないが!)恋人に一番に会いに行った神田だがそこで見たものは何とも不愉快極まりない光景だった。

アレンが食堂で何をどれだけ食べようが自分には関係ないと思っているが一緒にいる奴らが神田には大問題だった。

ゴツめなファインダー共に囲まれ楽しそうに笑っているアレンの横にはラビが座っていた。

ラビは普段からアレンに対してスキンシップ過剰だと常々 感じていた神田だがアレンの腰にまわされている手不自然なくらいに密着している体を見て今日こそは叩き切ってやろうと刀に手をかける。

しかしアレンの楽しそうな笑い声が耳に届いた瞬間手に掛けた刀を握り締めることしか神田にはできなかった。

声を出して楽しげに笑うアレンは年相応の少年に見えてなんとも微笑ましく感じられた。

そして同時に自己嫌悪と強い嫉妬に駆られる。

自分の前では決して声を出して笑うことなくいつも遠慮がちに微笑むアレン。

自分の傍では窮屈な思いをさせているというのを実感してしまう。


「 ……アレン…… 」


普段呼ぶことのない名前を小さく呼んでみる。

返ってきたのは楽しそうな笑い声。

アレンを笑わせることがラビ……
できない自分。

これ以上この場に留まりつづけることは神田の矜持にかけてできなかった。

そして今やり場のない嫉妬心を抱えながら一人になれる場所 自室へと向かっていた。

途中思い出すと気に入らない神田は廊下の壁をゲシッゲシッと蹴りをいれて八つ当たりをしつつ自分の部屋まで戻って行った。

必要最低限なものしかない殺風景な自分の部屋に着くと己を落ち着かせるためにゆっくりと息を吐いた。

何度か繰り返しゆっくり呼吸をしていると落ち着いてきたせいか任務の疲れが急激にやってきた神田
疲れからくる欠伸を噛み殺しながら団服を脱ぎ捨てると紐で括ってある髪を解きベッドの上に倒れこむように寝に入った。
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