平成幻想録・文

□第22説
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そして次の日、朝起きた愛那はいつもと風景が違うときょろきょろとあたりを見渡し、
だんだんと冴えてきたのか、今いる場所がどこなのかなど理解した。

そして、隣に座りながら寝ている煌太を見て微笑むと自分が使っていた毛布を彼にかけて自分は居間へと向かった。

そこに行くと十二天将達が勢ぞろいしいた。
まるで愛那が来るのを待っていたかのように。


「あら、おはようございます、愛那様」

『うん、おはよう、貴人。それに皆も』

「俺らはその他かよ!」

『いちいち皆の名前言いながら挨拶大変でしょ?』

「まぁ確かにね」

「その足りない頭交換してきたら?」

「はぁ?お前の堅物の頭こそ交換して来いよ」

「お前ら朝からうるさい。黙れ」

「「すみませんでした!!」」



低血圧の勾陣からの鋭い視線にいつもは止まない喧嘩もすぐに止まった。
ここで一番怖いのはもしかしたら天空ではなく勾陣かもしれない。


『ところでさ、柘榴さんは?帰っちゃったの?』

「えぇ。今日の夕方、またこちらに来るそうですわ」

『そう…私、とりあえず、学校の支度しに家に帰るね』


煌太はまだ寝てるから起きたら言っておいて、と一言残し家に帰って行った。
そのあとすぐに煌太が起きてきて、貴人から説明を受けると溜め息をつき彼はどこかへ行ってしまった。


「あいつ尻尾と耳出したまま外出ていいのかよ」

「まだ、朝早いですし、大丈夫でしょう」

「誰かに見つかれば変人扱いね」

「まぁまぁ。それより、愛那ちゃんもまた来ると思うからご飯の支度しなくちゃね。大裳、手伝ってくれるかしら?」

「えぇ、もちろん」


太陰は今日は大人数だから作りがいがあると張り切っていた。
そんな中、一人だけ心ここにあらず、という者がいた。
玄武だ。
彼は亀としてだが身近で彼女のことを見守ってきた。
それが、煌太…相模にその立場を取られてしまうのではないか、現に今も彼女のそばにいるのは自分ではなく彼。
どことなく寂しさがそこにはあった。
それに気づいているのかなのか、今まで口を閉じていた白虎が彼の肩を叩いた。


「…白虎?」

「…今まで、愛那のそばにいたの…玄武。彼女に一番近いのはきっと相模、じゃなくて、玄武、だと思う…」

「白虎…お前…」

「俺もそう思うけどなぁ。だってあいつは愛那を見守ってきたって言ってるけど、ぶっちゃけ遠くからだろ?」

「本当の意味での身近だよね、きっと。玄武は」


白虎、青龍、朱雀は玄武の方を見ながら笑っていた。
玄武も同じように、そうだな、といつもの玄武に戻ったのだった。
何も口出しをしなかった貴人達は安心したように彼らを見守っていた。

玄武は立ち上がると太陰達がいる台所へと足を運び、朝ごはんの手伝いをしたのだった。


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