平成幻想録・文

□第16説
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『私的には髪が長いより、短い方のが好きなんだけど』

「…え?」


というか長髪なんて女みたいだ、そっちの方が断然かっこいいよと言って愛那は出かけてしまった。


そして彼女が向かった場所は隣の神社。
その歩幅はだんだんと早くなり、耳も若干赤かった。


『(何であんなこと言っちゃったんだろうッ!!)』

「愛那?」


後悔し、下を見ながら階段を登っていると、前から自分を呼ぶ声がした。
前を向くとそこに立っていたのは六合だった。
彼は不思議そうな目でこちらを見ていた。


「どうしたの?何だか百面相だったけど」

『私下向いてたのによく見えたね』


少々驚きながら言うと、普通じゃないの?と言われたので、そういやこいつ人間じゃなかった、と改めて感じた。


「最近忙しかった?」

『え?』

「あんまりこっちに顔見せに来てなかったから」

『うん…ちょっとね…それにね、怨霊もね、出てるから…』

「あんまり無理しないようにね。僕たちもいるんだから、頼ってよ」

『うん…』


自分に仕えてくれる人達は玄武達だけではない。
しかし、一緒に住んているということ、住んでいないということ、それがおおきかった。
六合は丁度外に出て空気を吸っていたらしく、一緒に神社の中に入った。
中に入ると今の時間帯はいるはずのない人がいた。


『あれ、騰蛇、なんでいんの?』

「俺の住んでる家なんだからいてあたりまえだろ?つかなんでいるのかは俺のセリフだっつの!」

『いや、そうなんだけど…今の時間にいるのは珍しいなって思って…。え、来ちゃだめだった?』

「久々の休みなんだよ。そんなこと誰も言ってねぇだろ!?」


そんなことより…
彼はそう言って目を細めながら愛那の隣に立つ男、六合に視線を移した。
それに気づいた六合は何か言いたいことがあるなら言え、と騰蛇をにらむ。


「テメェみたいな奴といるとジジ臭くなるぜ」

「なんだって?」

「ハッずっとここにいてよ。少しは外に出たりとかしろよ。そうすれば世界が変わるぜ?」

「貴様…フッあいにく、僕は外に出で、お前みたいにチャラチャラとした奴になりたくないんでね」


「あ゛ぁ゛!?」



どうやら火が付いてしまったらしく、寝ころんでいた騰蛇は立ち上がり、六合をにらむ。
六合もしれに負けじとにらみ返す。
止めることができない愛那はあたふたしていた。
彼らが喧嘩をするなんて今に始まったことではない。
しかし、このまま見ているのもいたたまれなくなる。


『と、騰蛇…り、六合…』

「だいたいなぁ!お前はいつもうぜぇんだよ!」

「それは僕のセリフだ!」


思い切って声をかけても聞こえないらしく、口喧嘩をし続けている。
誰かを呼びに行こうと襖をあけようとしたときだ。
それは独りでに開いた。
とっさに手を引っ込めるとそこにいたのは大裳だった。


「貴方達…いい加減にしなさい!」

「「!?」」

「愛那ちゃんが来ているのに貴方達はなんなんですか!?」

「す、すまない…」

「わりぃ…」


大裳は二人を座らせて説教をし始め、それこそ止まることはなく、どうすることもできないため放っておくことにした。

そして、ある人の部屋へと向かった。
しかしその人は不在で室内にいることがほとんどなのに、少し珍しいと思いながら天后の所へ向かった。


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