平成幻想録・文

□第15説
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目が覚めると焦げ臭いが鼻にツンときた。
一瞬何があったのかとまだ活性化していない脳で考える。
そしてガバッと起き上がり急いでリビングへいく。


『ちょっ!なにしてんの!?』

「うわ、ま、愛那っ!」


そこに広がっていたのはぐちゃぐちゃになった食器達。
そして得体の知れない 黒い物が皿に乗っていた。
臭いも少なからずしてあまり近づきたくないとおもうほど。


『今すぐ片付けなさい!てか!玄武がいながらなんでこんなことになってんの!』

「す、すまない…」

「ま、待ってくれよ!これは俺達が…!」

「愛那に!何かつくってあげたかったんだよ!」

『え…?』


まぁ、全部失敗に終わったけどな…と苦笑いする朱雀。
相模曰く、愛那を元気付けたかったらしい。
ぐちゃぐちゃになっている食器を見て出来もしないのに頑張ってくれたんだということが愛那にとって嬉しかった。
しかし、これとそれとは話が別。


『ちゃんと、片してね』

「うっ…はい…」


流れで許してもらえると思っていたようだが失敗に終わり、皆できれいに片付けを行った。

片付けしていたのもあり弁当を作る時間もなくなってしまい、
コンビニか購買で買おうと思っていたところ、
玄武はこうなるのがわかっていたようで、弁当を作っていたのだ。


「これ、結構美味しいところ持っていかれたよな」

「あぁ」

「僕も料理が出きれば…!くっ、一生の不覚っ!」

「…相模って…愛那のことになると…キャラ、変わる、よね…」


完全に玄武と愛那の世界が作られているなか、彼らは思いを口々に溢していた。


愛那が学校へ行くと先程まで和やかだった雰囲気が一変して皆ピリピリしているようだった。


「俺の…間違いだったらいいんだが…」


玄武がそう言い出すと相模をはじめ、皆が首を振り、それを否定する。
どうやら間違いではなかったようだ。


「一度、貴人様と話をした方がいいかもしれませんね」


顎に手をあてながらそう言うと、彼らも賛同し頷く。

出きれば事が大きくならないように自分達だけで済ませないもの。
しかしきっとうまくいかないのだろうと窓から空を眺めながら溜め息をついた。


「とりあえず行くか」

「…そう、だね…」




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