平成幻想録・文

□第14説
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その様子を見ていた一匹の紅い鳥。
鳥は一鳴きするとどこかへ飛んでいっていまった。
それがたどり着いた場所は愛那の家。


「どうだった?」

「大丈夫だよ、あいつらなら」

「そうか…」

「それにしても…玄武も本当心配性だよなー!」

「仕方ないですよ。愛那様を一番近くで見てきたのは彼なんですから」

「玄武…これから…どうするの?」


どうする、とは愛那の事だろう。
紬は愛那と行動を共にすると心に決めた。
が、そうなると玄武達が本当の姿を彼女に伝えるべきなのか。
それと何故愛那のそばにいるのか、まぁこれは彼女が自ら言ったとして一般人を危険にさらしてしまうことになるのは間違いない。

十二天将として、紬も愛那も守らなくてはならない。
そうすると十二天将の長でもある、貴人に伝えなくてはならない。


「あとは愛那次第、か…」

「…」


そう呟く玄武に答えるものは誰もいなかった。

その日の夜、愛那は帰ってくるなり玄武達に自分の決意を話した。
彼らは最後まで耳を傾けて聞いていた。


「だが、お前は陰陽師になったばかりだ。時分をまもるのも精一杯のはずだ。大丈夫なのか?」

『正直、不安だよ。でも、私は紬を守るって決めたの。だから大丈夫。それに、何かあったら玄武達が守ってくれるでしょ?』


真剣な眼差しから笑顔に変わると、玄武は少し複雑ではあったが、
愛那が決めたことなら口出しはするべきではないと考えているため、なにも言えなかった。





場所は変わり山の奥に佇む大きな屋敷。
明かり一つ付かず真っ暗な部屋に少女が一人たっていた。


ふんわりとした肩までの長さの髪、そして全体的に黒で基調された服で、上はチューブトップで首にはチョーカーのようなものをつけている。
そしてチューブトップを繋げるように薄い布がつけられている。

下はバルーンスカートで、腰にはベールのような感じのようなものをつけている。

少女は広い部屋にただ一つ置かれているピアノの前で、鍵盤を一つだけ押した。
それは虚しく響き渡る。
押した鍵盤を虚ろな目でみていたが、それも一瞬で鋭い目付きになると部屋を出ていった。



この少女は一体何者なのか、そして意味するものとは…?

まだ物語は序章にすぎないのだ…




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