平成幻想録・文

□第11説
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『はぁ…』

「…愛那?」

『あ、ごめん、何?』

「何?じゃないわよ!今度遊びに行こうって話してたのに、聞いてなかったの?」

『あ、ごめん、ちょっとボーッとしてた』

「もう大丈夫?今年の夏は例年より暑いんだから、気をつけてよ?」

『わかってるよ』



ただでさえ愛那は一人暮らしなんだから…

その言葉に苦笑いする愛那。
それはそうだ。彼女は今一人暮らしではなく、居候が4人もいるのだから。


「でも心配だから相談は明日にしよっか。」

『ごめんね』

「んーん、気にしないで。私いつも愛那に助けられてるんだから!」


困った顔をしている愛那を元気付けようと友人は笑顔でありもしない力こぶをつくる。
一瞬目を丸くし、ポカンとしたが、声をあげて笑いだした。


『あははっ もう、お腹いたいんだけど…!』

「ふふ、やっと笑った。」

『え?』

「私は愛那の笑ってる顔が好きなの。だから笑ってなさい!」

『い、いひゃいよ!』


愛那の両頬をつねりながら笑っている友人。
じゃれあっている愛那達をクラスメイトは微笑ましく見ていた。


『ありがと…』

「どうしたしまして」


自分が陰陽師として覚醒した今、学友とあまり関わらない方がいいのかもしれない。
そうおもっていた。
が、そんなこと出来ないのだ。
愛那はクラスメイトが、今目の前にいる親友が大好きなのだから。

愛那は心のなかで誓っていた。
絶対に彼女達の事を守ると…

十二天将達に誓いがあるように、愛那にも誓いがあるのだ。


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