平成幻想録・文

□第8説
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相模は隙を取られ、横腹を刺されてしまった。
そこを押さえながら彼は怨霊を睨む。


「あれはまずいんじゃ…」

「おい、玄武っ」

「っ…仕方ない」

「…」


相模を見て、自分たちも戦闘モードに入る。
愛那の視線はいつの間にか怨霊えといっていた。
それは玄武達も気づいていなかった。


『…あなた、苦しいの…?』


玄武達の視線が一斉に愛那へと向かった。
戦っている相模もだ。


「ナ、ナニヲイッテ…」

『あなたの、心の叫びが聞こえてくるの。本当はこんな事したくないって叫びが』

「ッ…ダマレ…」

『辛いならやめればいい。ただ、それだけだよ。誰かに言われるんじゃなくて自分の意志で』

「ダマレェェェェェェエッ!!!」


怨霊の周りに黒い渦が出てきた。
その影響で強い風が吹き荒れて、木の葉達が飛ばされていく。
愛那達も気を抜けば飛ばされるのではないかというくらい。


『…っ』

「大丈夫か、愛那」

『う、うん』

「ここまで来たら俺等でも無理じゃね?」

「確かに…ちょっと難しいかもな」

「いえ、1つだけ方法はあります」


皆、冷や汗を書いている中、相模は真剣な顔をしてこちらへやってくる。
彼は先程刺されたためか服が赤く染まっている。
しかも、本当は痛いはずなのに平気な顔をしているのだ。


『さ、相模、体…』

「大丈夫です。これくらいは…」


でも…という彼女の口に人差し指を置いて、ニコッと笑った。
そんな彼に顔を赤くしてうつむく。
二人の様子に青龍や朱雀はムッっとした顔をしていた。




「さて、ここからは貴女の仕事です、愛那様」

『え…?』



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