平成幻想録・文

□第7説
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愛那はこの日、予定よりかなり早く学校が終わったためまっすぐ家に帰ってきた。
しかし、いつも騒がしい家の中が静かだったのだ。
不思議に思いながらリビングへ行くが誰もいない。

そこではっとした。
これが普通だったのだと。
彼らがやって来て何日か経ったが、最初こそは迷惑していた。
だが、今はとても楽しく、彼らがいることが当たり前になっていた。


『ハァ…変わるもんだなぁ…』


ソファに座りながら、周りを見渡す。
ボーッとしていても仕方ないのでご飯の支度などをし始めた。
最近は和食が多かったので、今日は洋食にしようと思い作り始めた。

もう少しで、作り終わる頃、玄関のドアが開いた。
騒がしい声がそこから聞こえる。
それを聞き笑みがこぼれる、愛那。


「うわっ 超いい匂いする!」

「ホントだ。つか愛那の靴あるぜ?」


ユウハンノいい香りが、玄関まで漂わせて、それに一番反応したのは朱雀だった。
玄武たちは急いでリビングに行くと愛那が、テーブルに、料理を並べているところだった。
彼女が、作っていることから朱雀の目はキラキラ光っている。


「……今日は洋食なのか…」

『最近ずっと和食だったからね』

「お前たち、そうじゃないだろ」


普通に会話している愛那たちに玄武がツッコミをいれる。


「愛那、今日は早かったんだな」


最初にすべき会話はこれだった。
愛那のご飯が美味しそうだったため、つい話が飛んでしまっている。


『思ったより早く学校が終わってさ。帰ってきたら貴方たちいなかったからびっくりしちゃった』


顔をひきつらせる4人。
箸を出しながら彼らにいっていたため、顔を見ていなかった。
そのためそれに対して問い詰めることはなかった。


「ちょっと出掛けてたんだ」

『ふぅん…まぁ。ずっと家にいるのも窮屈だからね。出掛けるのはいいんだけど…』


まぁ、そんなことより…と全ての食器を並び終えた愛那が、ニコッと笑みを浮かべ振り向いた。
冷めないうちに食べてしまおうと、各々に席に着き、夕飯をすませた。

愛那の作る料理は美味しいようで、朱雀はとても喜んでいた。


「毎日愛那の料理食べたい!」

『いや、流石に無理かな?』

「そ、そんな…」



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