平成幻想録・文

□第6説
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考え事をしながら料理をしていたのか無意識のでかい鍋で作っていたようだ。


『どうすんのよ、これ』

「どうにかする」


そのどうにかはあてがあるようで、作ったものが無駄にならないならと彼には何も言わなかった。
愛那が学校へ行ったあと、四人は戸締りをして家を出た。
向かう先はもちをんあの神社だ。


「あれ、貴人、あなた起きてて大丈夫なの?」

「ええ。どれに今日は彼らがくるから」


貴人の言っている彼らが誰だかわからなかったが、彼女が嬉しそうな顔をしているので自分たちにも関わりがありそうな気がしてならなかった。


「天后、お茶を四つ用意してください」

「わかったわ」


貴人に言われた通り、湯を沸かし、お茶の用意をした。
口には出さないもの誰が来るのか気になっている人も多いようで、ソワソワしていたりと、皆落ち着きがなかった。


そんな時だった。家のチャイムが鳴ったのは。
それが誰だか彼女は知っているので、ここまで通すように言う。


「久しぶりですわね、元気にしていましたか?玄武」

「久しぶりだな、貴人。俺もこいつらも元気だ」

「そう、よかったですわ」


玄武と貴人の会話をただ呆然と聞いている青龍達。
まるで頭に入っていないかのようだった。
それはそうだろう、今まで探していた人が今目の前に、そしてこんなに近くにいたのだから。



「…どういうことだよ、これ」


青龍が震えながらそれを口に出す。
近くにいた天后は心配そうに彼を見ているが玄武や白虎達は表情を変えずに彼を見ていた。
それは心配の二文字では当てはまりきらない、そんな顔。


「青龍…」

「なんで教えてくんなかったんだよ〜。知ってたら会いに行ったのによぉ!」


貴人たちが隣に住んでいることを知らされず、怒りで震えているんかと思いきや、うれしそうな顔をして貴人に抱きついたのだ。
相変わらずと思いながら、青龍の背中に腕をまわす。


「すみません。あなたたちが隣に住んでいるのは知っていたのですが、時期を見て会ったほうがいいかと思いまして」

「…貴人がここにいるってことは…」

「他の奴らもここにいるんだ?」


貴人の後ろに立っている天后を見て、それを確信していた。
天后も頷き、嬉しそうに笑っていた。
それと同時にみんなが帰って来たらうるさいだろうなぁと思いながら。




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