平成幻想録・文

□第6説
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その日の夜は星々がよく見え、電気がすでに消えてる神社を月が明るく照らしていた。
それはとても神秘的で、縁側に座っている女性もまた月に照らされて綺麗だった。
彼女は天女を思い起こさせるような、そんな格好をしていた。
月を見ているようで何か違うものを見ているようだった。


「なにかが…おきる…」


彼女はボソッと呟いた。
それほ誰に聞かれるでもなく、風に吹かれて消えていった。


「そんなとこで何をしているのですか?風邪を引きますよ」

「太裳…」

「とうか、したのですか?」

「これから何か、おきる気がしますわ。結界を少し強くした方がいいかもしれませんわ」

「分かりました。貴人、貴方も無理はしないように」


太裳は目の前の女性、貴人にそう忠告し、立ち去った。
その間、貴人は彼のほうを見るわけでもなくただ月を見ていたのだった。

次の日、愛那はいつもより早く起きた。
なので、少し歩こうと思い、着替えて家を出た。


「ふわあぁぁぁぁぁあっおはよう…って愛那は?」


すぐあとに朱雀が起きてきて愛那の居場所を聞いたため説明してあげた。
自分も行きたかったなどと言いながらソファに座る。


「そういえば気づいたか?」

「…隣の神社の結界が強くなっていることか?」


玄武の問いに朱雀の隣に座っていた白虎が答えた。
今起きてきた青龍を朱雀もそれを感じていた。


「一度、見に行ったほうがいいな(何かあったのかもしれないし、それにこいつらと会わせなきゃいけないしな)」


玄武がそう言うと皆頷いた。
話がまとまったところでちょうど愛那が帰ってきた。


『ただいまって何してんの?何か空気重いよ』

「いや、なんでもない。今からご飯を作るからシャワーを浴びてきたらどうだ?」

『うん、そうする』


彼らの様子を不思議に思いながらもシャワーを浴びに行った愛那。
彼女は勘がいいため、気づかれないように事を運ばなければならない。
それに神社に行くなら愛那が学校に行っている間。
玄武としては隠すことでもないのかもしれないが、もしものことを考えると今は言わないほうがいいと思っていた。


『玄武、玄武!』

「っ!…あ、すまん。どうした」

『いや、それこっちのセリフ。あきらか量多いでしょ』

「…ん?」


風呂場から帰ってきた愛那が見たものは明らか自分たちが食べきれる量じゃないくらいの大きさの鍋に入っている煮物だった。



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