平成幻想録・文

□第4説
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その日、ふと思った。
最近、神社に行っていないと。
立て続けに人(?)がやってきたので神社に行く暇もなかった。
やっと落ち着いてきたので久しぶりに行ってみようと支度して家を出る。
玄武達もずっと人間のままってわけではないので今は動物などの姿をしている。


『相変わらずでかいな』


神社は愛那の家の隣にあるため、すぐにたどり着いた。
階段をのぼり、鳥居の前まで行くと、いつもそこにある狐の石像がなかった。

不思議に思っていると彼女の目の前を狐が油揚げを食べながら二足歩行で歩いていたのだ。
愛那も狐もあ互いに顔を見合わせて、固まった。

しかし狐は、何事もなかったようにまた歩き出した。
愛那も駆け足で神社の中には入り、おばあちゃんを探した。


『お、おばあちゃん!』

「あら愛那ちゃんじゃない。久しぶりね」

『うん、久しぶり!じゃなくて!!と、鳥居の前の石像が!!』

「石像がどうしたの?」

『石像がなくて!!そしたら狐が二足歩行で歩ってた!』

「ああ…それはさがみーね」

『さ、さがみー?』


おばあちゃんの言っている意味が分からず、声が裏返る。
フフ、と笑いながらお茶を出してくるおばあちゃん。


『え、あれって石像じゃなくて、元々狐だったの!?』

「そうよ。ずっとこの神社を守ってくれてるの」

『へ、へぇ…』


幼い頃から見てきた石像が生きていたと聞かされ、驚きを隠せなかった。
しばらく、放心状態になっていると、ひょこっと彼女の前に狐が現れたのだ。


「さがみーが自らあなたの前に現れたのね」

『え、ちょ、どういうこと…?』

「あなたが心配なのよ」


キュゥ〜っと鳴いている狐を見て愛おしさが出てきた。
彼女のことを見上げてくる狐を持ち上げて抱きしめた。



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