平成幻想録・文
□第2説
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その日も何事もなく一日を過ごせると思っていた。
まぁ、あのマッチョの事は別として
学校も終わり家に帰るととても騒がしかった。
これはマッチョの声ではなく、残っている選択肢は一つである。
『お父さん!?』
「ん?おお!愛那か、おかえり」
『ただいまっじゃなくて!!いつ帰ってきたの!?』
「今さっきだ!あ、そうだ聞いてくれ!オレな、タツノオトシゴ釣ってきたんだ!」
『ハ!?タツノオトシゴ!?』
仕事先から帰ってきた父が見せてきたのはよく金魚すくいをやったら入れてもらえる袋に入っているタツノオトシゴ。
それを笑顔で渡してきたがそれをどうしたらいいのか分からず戸惑う愛那。
『え、これどうすれば?』
「ん?お前にやる!大切に育てろよ。おっと、オレは仕事の合間に来たんだった。まぁつうことだ、がんばれよ!」
父はそう言って家を出ていってしまった。
タツノオトシゴを持ったままポカンとしている愛那。
そんな彼女を心配して亀から人間になるマッチョ。
「大丈夫か?」
『……っお前は何しに帰ってきたんだぁぁぁぁぁぁぁぁあああっ!!!』
何のために帰ってきたのかわからない父に対して届くはずもないが、大声で叫ぶ。
「とりあえずそれをどうにかしないと」
『わかってる。はぁ…また増えた。タツノオトシゴって何食べるのよ』
「…なんだろうな」
『たく、あとで調べないと…』
グチグチと文句を言いながらも使われていない金魚鉢に水をいれ、タツノオトシゴを入れ替えようとした。
その時だった。
「ちょ、お前!真水はねぇだろ!?」
『っ!?』
それは目の前で人間になったのだ。
突然のことで思考回路が回らず、そこに立ち尽くしている愛那。
「普通海水だろ!?っておい、聞いてんのか?おい!」
『あ、あんたも人間になっちゃうわけ…』
「”も”?他に誰が…」
「俺だ。まさかお前までくるとはな、青龍」
「げ、玄武!?テ、テメェ、今までどこに…!」
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