人が増えたと思ったら今度は人が降ってきた!?・文

□第9説
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奇妙な日々が始まり早三日。
この日も十六夜達は愛那の家にいた。

確か彼らは今修学旅行中のはずだ。
こんなに自由でもいいのか。
集団で見学とかないのだろうか。


「なんでか分からないけど集団でも行動がないんだよね」

『え!?ないの!?』


そう、琴羽達の学校の修学旅行は、集団での行動がないのだ。
自由行動だけ。怪我をせずなににも巻きこまれなければいいのと先生には言われてるらしい。

しかし、その分修学旅行での思い出、そして発表というものがあるらしいのだが。


『え、待って。じゃぁここにいたらなにも書けないじゃない』

「ここで過ごしたことを話そうと思ってたんだけどだめかな?」

『駄目だと思う』


やっぱり?
と笑う琴羽に大丈夫だろうかと心配になってしまった。
しかし本当にこのままではなにもしないまま帰ることになってしまう。
そこで何か思いついたようにあっ!と声をあげた。


『だったら私が案内するよ!どうせここにいてもやることないし』


手のひらをあわせてニコニコ笑っている。
琴羽はうれしそうに目をキラキラさせた。

ということで琴羽、秋乃のために観光案内をすることになった。

因みに、アレルやクレスそして十六夜達には服を着がえてもらった。
今着ている服で出歩いたら目立つこと極まりない。

まずは定番である清水寺、金閣寺、そして銀閣寺などをまわった。
場所も近い所にあるわけではないため、名所をまわるだけで時間が過ぎていく。

リノやクレス、アレルもめずらしいものを見るような目でそれらを見て楽しんでいた。


「この神社は?」

『あー…ここはね、晴明神社っていうの。かの安倍晴明ををお祀りしてるの』

「へぇ」


この説明をしているときの愛那の表情が一瞬だけ悲しそうになったのに玄武は気づいたがなにも言えなかった。


「あ!私京都に来たら弁慶と牛若丸が出会った場所?に行ってみたかったの!」

『五条大橋のことかな?』


五条大橋に着いたころにはすでに日が沈み始めていて、空が夕日に染まっていた。


「ここが…」

「なんかすごい橋ね!」

「君たちの世界は僕達の世界とはまるでちがう。きれいだ」


上から秋乃、琴羽、アレルが口に思いを出した。
アレルの目はゆらゆらとゆれている。


「…」

「?真琴、どうした?」

「え、あ、いや…」

「…なつかしいか?」

「…この感じはね。でも、私はクレス達といる方が…「あれ…いつの間に人いなくなった?」…ほんとだ。さっきまでたくさんいたのに…」


真琴達四人と十六夜達四人は不思議そうに頭を傾げていた。


「…愛那様」

『うん』

「…紀伊様」

「…うん」


愛那達と紀伊達は目を細め、遠くを見ていた。
彼ら以外はなにが起きているのかと不安そうに見ている。


『……くる』



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