人が増えたと思ったら今度は人が降ってきた!?・文
□第7説
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「僕こんなの着ないよ!?」
「アレル、諦めろ…」
「ちょっ、クレス!?」
後退りながら全力で拒否するが、クレスに見捨てられ、
周りの者も笑っている。
ジリジリと近づいてくる十六夜。
アレルは逃げる場をなくしてしまい、彼は息を飲んだ。
そして…
「……なんで僕が…」
結局着せられ、ウィッグまで被せられ、ムスッとした顔をしている。
彼だって男性。
女性の格好をさせられ、屈辱的だった。
そのため、相模は喜びにみちた顔をしているはずだった。
しかし、その顔はポカンとしていた。
彼だけではない。他の者もだ。
「貴方は…なんでも出来てしまうんですね…」
「物凄く似合っているではないか!私が用意した服をこうも簡単に着こなせるとは…!」
「ありえねぇ!」
「嬉しくないよ!」
そう、屈辱どころか逆に似合ってしまっているのだ。
元々中性な顔立ちでもあったため、度々女性に間違われることもあったとか。
クレスも彼を見捨てたわけではなく、そういう服を着ても似合ってしまうことを知っていたため、敢えて彼に女性の服装をさせたのだ。
「似合ってんじゃん」
「…クレス」
「悪い悪いっ」
そんなこと思ってないだろ、と心のなかで思うアレル。
睨みつけるがクレスには効かず。
着替えたくて仕方ないアレルだが。
十六夜が彼を見てわなわなしていた。
「ありない、実にありえない問題だ!これは夢なのだろうか、そう、夢だ!こんなにも女装が似合ってしまう男がいるなんて!世の中不公平になったものだ」
「…」
いきなりそんなことを言い出した十六夜。
アレルの目は冷めきっている。
その視線にも気づかず、十六夜は洋服を出した。
しかもそれは女性が着る服。
「これは秋乃に用意しておいたやつなのだが…致し方ない。また今度作ってやろう」
「十六夜、貴方まさか…」
「アレルが似合っていて私が似合わないなんてことはないのだ!」
十六夜は、キリッとした顔でそう言いのけた。
流石にそれはありえないといった表情をしている相模。
しかし、十六夜が女装すると言ったことにより、青龍ものってしまった。
二人は奥の部屋に着替えにいってしまった。
このとき、玄武は嫌な予感しかしていなかった。
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