平成幻想録・文
□第9説
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なにがあろうとも口出しはしないように言われていたが耐えきれなくなっていた。
それはそこにいた全員がそうだった。
「あなたは、晴明様の子孫。陰陽師としての才能をお持ちでございます。昨日のあれを封印したように…」
『…っ』
昨日のことを言われて顔をしかめる。
あれは無意識にやっていたようなもの。
しかし、彼女が封印したことは事実。
「今私達がお仕えするのは貴女、愛那様なのでございます」
『い、いきなりそんなことを言われても…困る、よ…』
膝上でギュッと拳を握り俯く。
その拳の上手が重なった。
顔をあげるとそこには微笑む貴人がいた。
「私たちは貴女を守るために存在しているのです。貴女の…幼い頃から見てきて、この方を、お守りしたい…そう思ったのです」
『貴人…』
貴人の言葉はとてもやさしく、愛那を安心させた。他の者もそうだ。
なんだかんだ言ってずっとそばにいて、いきなり愛那を守るためだとか言っても、彼らの彼女を見る目は全くかわっていなかった。
『そんな、すぐには…受け入れられないけど…でも、あなたたちのことは、その、大好きだから、無茶だけはしないで』
「!…はい、分かりました」
貴人は一瞬驚いたような顔をしたがすぐにそれは消え、笑顔で愛那を見ていた。
「愛那…」
『ふぅ…あなたたちは最初から私を守るために家に来たんだね。でも、ありがとう。それでも私はあの家で暮らすにはとても嬉しかった』
「愛那ぁぁぁぁぁっ!」
『ちょっ!青龍っやめてよ!』
「オレはお前が好きだぞ!もちろん俺だけじゃねぇ。みんなもお前が好きなんだ。だからなんにも心配すんじゃねぇぞ!!」
玄武の心配そうな声色に後ろを向くと青龍が抱きついてきた。
すぐさま話そうとしたが彼の言葉に彼女は顔を赤く、嬉しそうに笑った。
『ありがとう。これからも、よろしくね』
そのあとの彼らはもちろんと口々に言ったのだった。
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