平成幻想録・文

□第8説
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相模は懐から一枚の御札を取り出した。
愛那はいまいち分かっていないようだが、玄武達はなんなのか理解したようで、驚いていた。


「ちょっと待て、それは…」

「……まだ早いでのは……」

「白虎の言う通りだぜ」

「まだ覚醒も…」


まだ覚醒をしていない愛那にそれを使わせるのは体が持たないと使うことを勧めなかった。
それでも怨霊を封印することができるのは彼らにしかできない。


『…それ、私にしか使えないんだよね?』

「…はい」


相模の辛そうな顔を見てそれほどのものなのかと思いながら己の拳を握り彼の手から札を取った。
その行動に彼らは動揺していた。


「おいおい、何するつもりだ…」

『私にしかできないなら私がするべきでしょ。でも、どこまでやれるかわからないから、サポートはよろしくね』

「…っ本気か?」


青龍は納得がいかないようで、愛那の札を持っている方の腕を掴んだ。
それを優しく外してニコッと笑う。

怨霊のほうを向き、札を顔の前で構え、目を瞑った。

玄武達は息をのんだ。
しかしいつまでたっても何も起こらず、やはり彼女には荷が重すぎたのだろうか、と思っていると愛那が玄武達を見て言った言葉に拍子抜けしてしまった。


『…これ、どうやって封印すんの?』


苦笑いしている愛那に目を点にする彼ら。
そこまでの重い空気が一気に軽くなったきがする。


「アハハハッ おま、それで封印しようとしてたのかよ!」

『う、うるさいな!』

「まぁまぁ。愛那様は初めてなのですから。今から教えますから」


相模は愛那の肩に手を置いて優しく微笑む。
小さく彼女にそれを伝えると頷きもう一度先ほどと同じように札を構えた。



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