平成幻想録・文

□第4説
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彼がさがみーだとすると愛那は彼を抱きしめていたことになる。
それは恥ずかしいことで彼を見ることができない。


「仕方ありませんね。これでも、ですか?」


そう言うと、彼は煙に包まれた。
驚いて、それを見ていると、目の前に現れたのは、狐だった。


『ず、ずるいよ、それ!!』


彼を見て後ずさるも、気持ちには勝てるはずもなく、抱きしめていた。
人間になればイケメンで狐になれば可愛くて。彼は罪だと思う。
それを思っているのは私だけだと思うが。
彼は私の腕から離れてまた煙に包まれた。
現れたのは耳と尻尾を生やした相模。


『耳に尻尾…?さっきまでなかったのに…』

「僕は元々妖狐です」

『よう、こ…?』


妖狐、それは狐の妖怪ということ。
書籍には人間になりすまし人を化かすなどと残っているが彼がそんなことをするのだろうか…
いやでも人は見かけによらないという。


『あ、あの、えっと…』

「…軽蔑しましたか?」

『…え?』

「僕は妖狐です。昔はヤンチャだってしてきました。だけど、今は…あなたを守ることだけを考えてやってきました。」

『相模…だっけ?私は軽蔑なんてしてないよ。というかなんていうんだろう…最近似たようなことがあったからあまり驚いてはいないんだよ、正直ね』

「愛那様…」

『まあ、きっと私たちは会うべくしてあったんだし、これからよろしくね』

「!っ…はい!」


彼女と話しているときの相模は六本の尻尾をブンブン振っていたそうだ。
それをかわいいと思っていたのは愛那の心の中だけでしか知りえないことである。



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