短編
□那月と砂月が双子で迫られたら
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♪〜
「ん…」
携帯のアラームが鳴った。今日は休日であるにも関わらず、間違ってセットしてしまったようだ。私は目を擦りつつ、ベッドの横に置いた携帯をとろうと手を伸ばす。
「ん…いたい…ですよぉ…」
手が何か固いものに当たったと感じて、目を開くとそこには那月がいた。どうやら眼鏡に当たってしまったようだ。私は、ごめんと言いながら起き上がろうとして、後ろから誰かに無理矢理阻止される。
「おい…待てよ…もう少しここにいろ」
後ろからぎゅうと抱きしめられながら、私は驚いて顔を向けた。そこには、砂月。気がつくと、私は那月と砂月に挟まれた状態でベッドに横たわっていた。
アラームはいつの間にか止み、再び静寂が訪れる。聞こえるのは彼らの吐息と私の鼓動。ふいに、那月は砂月側に向けていた顔をこちらに向けさせて、唇に軽くキスをする。そして頬をさらりと撫でる。
「おはよう、莉音ちゃん」
「お、おはよ」
私が那月と挨拶をしていると、後ろから砂月が毛布の中で足を絡めだす。そして耳にキスをし、それでは足りないとばかりに甘噛みをする砂月。
「おい…こっち向け」
「…んっ…ああ、ごめん」
私が身体ごと砂月へ向くと、名残惜しそうに那月はぎゅうと抱きしめて背中に顔を埋めてから、首筋にキスをする。
「おはようのキス、まだだったろう?」
おもむろに熱く口づけされて、私は砂月くんに酔ってしまう。それを見かねて、那月くんの両手が腰から胸へそわそわとあがってくる。そしてついに胸を優しく揉む。
「んっ…ああっ…」
思わず砂月の情熱的なキスから逃れて声を漏らすと、砂月は不機嫌そうな顔をした。そして私の内股を撫でつつ、首筋にキスマークをつける。
「あっ…さっちゃんずるいですよぉ」
「抜け駆けしたのは那月だろうが…莉音が胸弱いの知って…」
「ふふっ…ここ触ると、莉音ちゃん絶対反応するんだもん。可愛いっ」
「んああっ…」
ネグリジェのボタンを開けられ手を入れられると、那月は容赦なく膨らみの頂点ばかりを押したり摘んだりして弄る。
砂月はというと、私の耳を舐めながら、既に潤いはじめた弱点の表面を撫でたり指を中にいれたりと、刺激を加えた。
「や…はぁ…ああっ」
「さっちゃんばっかりずるいよぉ…僕も莉音ちゃんの喘いでる顔見たい」
「…俺は譲る気はないぜ…っておい!」
那月は無理矢理に身体ごと私をこちらに向けて、私の頬を撫でる。そしてふふっと笑うと、手を動かしたままはだけた鎖骨を舐めて、印をつけた。それから舌が降りて胸の飾りを執拗に舐める。
砂月は内股から尻にかけて撫で、そして毛布の中へと頭を入れると手を動かしながら、腰にキスをしたり舐めたりを繰り返す。
私は二人から受ける刺激に身体を震わせながら、ただ声を出していた。彼らの息はぴったりで、私は余裕がないながらも双子なんだなぁと身を持って実感した。
全てが終わって、私たち3人は仲良くソファに座って紅茶を飲んでいた。右隣には那月、左隣には砂月がそれぞれ陣取って、お互いが私の腰に腕をまわす。
「あのー…」
「なんだ?」
「なーに?」
私が喋ろうとすると、突然二人が横から私の顔前に現れて、きょとんとした表情を見せる。
「ちょっと近くないかな…私恥ずかしいよ」
「僕が近くにいるから恥ずかしいの?可愛いっ莉音ちゃん」
そう言ってぎゅうと抱きしめられていると、砂月は肩をぐいと引き寄せる。そして飲んでいた紅茶のカップを置いて、私の髪を梳く。
「いや、違う。莉音、お前は俺が好きなんだろう?」
「えっと…」
(そういうわけでは…)
「えー?僕は大好きなのに、莉音ちゃんは僕のこと嫌いですか?」
「嫌い、じゃない…けど」
そう呟くと、彼はわーい!と叫んで私と砂月の両方を抱きしめた。そして私に頬ずりをする。
「おい那月!」
「僕はさっちゃんもだーい好き!だけど、莉音ちゃんは渡さないからねっ」
「ふんっ、勝手に言ってろ。莉音は俺の女だ」
(どっちも違うんだけど…)
私は溜息をついて、にこやかに笑う那月と不敵な笑みをみせる砂月を交互に見比べる。やっぱり双子。見せる表情は全く違うけれど、根本的には同じ顔で思わず私の頬が緩んだ。
(なに笑ってるんですかぁ?)
(なんでもないよー)
(正直に言わないと…)
((ちゅ))
(二人ともキスはもうおしまい!)