短編

□お前の媚薬はアルコール
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「ねぇ、さっちゃ〜ん」

「さっちゃんて呼ぶなっていつも…っておい大丈夫かよ」


ついさっきまで、皆でわいわいと騒いでいた莉音は少し離れた位置に座っていた俺の元へ、ふらふらしながら歩いてくる。

今日は文化祭で、ちょうど教室で今その打ち上げが行われていた。俺は他のやつと騒ぐのはごめんだから遠巻きに見ていたんだが、それに気付いたのか、たまたま少し離れたかったのか、莉音がこっちにやってきた。


「はわぁ…」


変な声を出して倒れ込んだ莉音は、顔が真っ赤でいつも輝いている瞳が潤んでとろんとしていた。俺が抱き留めてやらなかったら、そのまま頭をぶつけていたに違いない。一体どうしたというのか。いつもならこんなに甘えることなんて100%ない。世に言うツンデレよりもタチが悪く、コイツにデレなんてものは存在しないはずなのだが。


「おい、莉音?どうした、返事しろ」

「…んー?さっちゃんぎゅー」


莉音は浮かれた口調でそう言うと、俺の背中に両腕をまわしてぎゅうと抱き着いてきた。俺は訳がわからず、ただ頭を撫でる。

(…これは、酒か?)


近付いて分かったことだが、莉音からは微かに酒の臭いがしていた。多分本人も気付かず飲んでしまったにちがいない。それにしても、買ってきたやつは一体誰なんだ。


「むー」

「なんだよその顔は」


俺から身体を離して頬をぷくっと膨らませた莉音は、挑戦的に俺を見上げた。俺はそんな莉音の膨らんだ頬に人差し指を突き刺してみた。


「今子供扱いしたでしょ、いい子いい子って」

「あ?頭撫でたことか?」


もう、コイツの怒りどころがわからない。多分、コイツも自分で何を言っているかよくわからないのだろう。


「私は…もう、大人なんだよっ!」


少し瞳を潤ませて、莉音は俺の頬にさらりと触れた。そして何を思ったか制服のリボンを解きさり、ブラウスのボタンを一つ一つ開けていく。そしてスカートの裾をさりげなく上げていく。


「お前何やってんだこんなところで!」


言葉とは裏腹に、莉音の手を止める手は緩い。本当ならこのまま全てを解き放って、莉音を俺のものにしたかったが、残念なことに他にも人がいる。他人の目が気になる、というよりは莉音の淫らな姿を他の誰にも見せたくないという独占欲。


「砂月…お願い…」


既に3つまで開けられたブラウスに、あと少しで下着が見えそうなスカート丈。そして真っ赤な顔に潤んだ瞳で見上げられ、懇願されたら…

(もう限界だ)


莉音を強引に引き寄せると、そのままドアを開けて教室から出た。廊下の電気は全て消灯されていて、少し教室から離れればすぐに周りは暗くなる。

しばらく歩いて、空き教室を見つけた俺は電気も点けずに入る。そして、机の上に彼女を寝かせた。少し硬そうだが、そんなことまで気にしていられない。


何も抵抗をせずに、ただ俺を見つめるだけの莉音。俺はそんな従順な莉音に興奮し、強引に唇を奪う。

(やっぱりな…酒の味だ)






「はう…砂月…?」


しばらく莉音を堪能した俺が唇を離すと、莉音は首を傾げた。俺はそんな莉音の首筋に指を這わす。


「ん…はぁっ」

「いいか、あんまり大きな声出すんじゃないぞ」

「…?」


そして先程莉音本人がはだけた鎖骨に軽くキスをし、ボタンをどんどん開けていった。そして豊満な果実にたどり着くと、まずその飾りを弄ぶ。


「んあっ…やあっ…砂月何を…」

「静かにしろ。できないんなら…その唇、塞いでやるよ」


果実の頂きを弄りながら、俺は莉音の唇を自身の唇で塞いだ。少し舌でからかってやれば、もぞもぞと身体がうごめく。その姿がなんともいやらしい。


「んっ…」


何度も何度も熱いキスを重ねていくうちに、彼女の吐息は荒くなっていく。それに合わせて俺の手も莉音のいいところばかりを弄り、焦らしながら愛撫を続けた。


「はぁ…やあ………んっ」


キスとキスの間に零れる微かな喘ぎ声が、また俺を熱くした。既に潤っている莉音の弱点に指先を滑り込ませれば、莉音はぴくりと反応をして、恥ずかしそうに頬を染める。


「お前、可愛いな」


耳元で囁きつつ、ぺろりと舐めれば莉音はびくびくして震え出した。そして首をふるふると振って、拒絶する。


「もう…やっ!やめて」

「あぁ?お前が誘ったんだろうが」

「だって…声出ちゃう…」


気持ち良すぎて声が出ちゃうからやめろ、とそういうわけか。そう莉音に伝えると、恥ずかしそうに身体をもぞもぞと動かした。


「じゃ、部屋行くか」


俺のブレザーを着せて、俺は莉音を抱き抱えた。そして寮まで歩いていく。













「よし…続きだ」


焦る気持ちを抑えてようやく部屋についた俺は、寮のベッドに莉音を寝かせて跨がった。そのとき、ある異変に気がつく。


「おい、莉音…まさか」

「…」


莉音は規則正しい呼吸をして、気持ち良さそうに眠っている。どうやら俺が運んできた間に、疲れて眠ってしまったようだ。


「ったく…誘っておいて無責任なやつ。だが…ゆっくり寝とけ」


俺はそう呟いて軽く唇にキスをすると、莉音に毛布をかけて頭を撫で続けた。












(んぎゃあああ!砂月、これはどういうことだ)
(言っとくが、昨夜お前が誘ったんだぞ)
(私にはそんな記憶はない!こっち寄るな変態)
(ったく…本当タチ悪いなお前)

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