短編
□2.盗撮が犯罪って知ってますか?
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♪〜
レコーディングルームで、那月と私が練習をしていた時だった。突然那月の携帯が鳴り、彼は慌ててそれをとったのだ。
「翔ちゃんからのメールです!」
那月は携帯の画面を見る前に、着信音だけ聴いて満面の笑みを見せた。何でわかるの、と私が問えば彼は、翔ちゃんは特別な着信音なんですよと答えた。
(私の着信音は普通…だよね)
「あ…見てくださいこれ…」
携帯を開いてメールを確認した那月は突然しゅん、と肩を落とした。そして私の隣に座って携帯を渡す。
「翔くん…今日忙しいのかな」
今日のお昼は、翔くんと那月と私で3人で食べる予定だった。私と那月が練習しているところに合流するつもりだったのだ。しかし、たった今翔くんから断りのメールが届いたわけだ。
「残念です…僕お昼ご飯たくさん作ってきたのに…」
「あ…そうなんだ」
私は冷や汗をかきつつ、彼の携帯を返そうとしてうっかり電源ボタンを押し、待受画面にしてしまった。
「ごめ……ってええ!?」
そこに映っていたのは、水着姿の私だった。しかもカメラ目線ではない。そして異常なまでのアングルで、ビキニを着ていた私の谷間がばっちり映っている。
「ふふっ…これ、誰だかわかりますかぁ?」
笑いながらぐいっと肩を寄せられ、ぎゅうと抱きしめられた私は赤面した。
「私…。だけど私撮られた覚え…」
「楽しそうでしたもんねぇ、プールの授業のとき!まだまだあるんですよぉ」
「えっ…?」
私の頬にキスを施すと、ふふっと笑って携帯を弄り出す。データフォルダを開くと、中に私の名前がついたフォルダが作られていた。
ぞわっ
鳥肌が立った。
「一枚ずつ見ましょうか!」
「う、うん」
「まず、コレは貧血のとき…衣服を緩めたついでに…」
「!!!」
そこには制服のボタンが少し開けられて、苦しそうにしている私の写真があった。そのときの状況が分からない人が見れば、犯されているようにも見えなくはない。
「那月…最低!」
「だって…可愛かったんです。可愛いものは写真に収めないと…ねっ」
爽やかに笑うと、私の頭を撫でる。私は那月の瞳が恐ろしすぎて、直視できなかった。
(スカートの中とか出てきたらどうしよう)
「あ、これは…莉音ちゃんに怒られちゃいそう…飛ばしましょう」
「待て。どういう意味だ」
「…ちょっと、僕のお宝写真なので消されては困るんですよぉ」
「那月…いくら私が彼女だからってしていいことと悪いことがあるでしょ!盗撮は…んっ」
私は思ったことを最後まで言わせてもらえず、彼に唇を塞がれてしまう。そして無理矢理に倒された。彼の両腕が私の顔のすぐ横にある。
「じゃあ、生で見せてください莉音ちゃん」
耳元で甘く囁かれ、衣服がどんどん緩められていく。
(やっぱりいかがわしい写真だったのね…)
はぁ、とため息をつきつつ、私は那月に全てを委ねた。なんだかんだ言っても、那月が好きだから。
(いい着ボイスがとれそうです!)
(お願いだから勘弁して…)