Novel1
□「詐欺師と悪魔」
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赤也Side
「仁王先輩〜‼‼ってあれ?」
仁王先輩から「5時間目、屋上に来んしゃい」とメールがあったから来たと云うものの、肝心の先輩がいない。
最近付き合い始めたばっかりだから、遅れないようにしたのに。
「んだよ…」
なんか俺ばっかり舞い上がってるようで、馬鹿らしい。
告白したのも俺から。
好き、というのも俺から。
もしかしたら、今の関係を崩したくなくて嫌々付き合ってるとか…?
「うっ…グスッ…ヒクッ…」
考えるだけで涙が止まらない。
仁王「な〜に泣いとんじゃ」
「に…おぅ…せんぱい……?」
ヤバい、こんな姿見せるなんて最悪だ。
仁王「何で泣いとる?」
言えない。先輩が俺のこと好きなのか不安、なんて。
「グスッ……」
仁王「言わん奴にはお仕置きじゃの」
仁王先輩の顔が近付く。
その目が余りにも本気で。
咄嗟に目を瞑った。
そして、唇の違和感。
「ん…⁉」
キス…されてる…?
先輩が唇を離すと耳元で
仁王「愛しとぉよ、赤也」
最も欲しかった言葉をくれて、また涙が止まらなかった。