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□だって、なんか、恥ずかしくて
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「あ、綾音!綿菓子!!!」
「え?」
「綿菓子だよ、綿菓子!食べたいって言ってたじゃんか!!」
向こうを見ると、確かに、綿菓子の屋台。
かすかに甘い香りもする。
「わ、ほんとだ!いこいこっ!!!」
私は退くんを置いていくように、一人で綿菓子屋に一直線。
すぐ後ろで退くんが「あ、待って」と言いながらついて来る。
「綿菓子だぁーー………。」
綿菓子の屋台の目の前で、私はそう呟いた。
「ほんと綾音って甘いもの好きだよね。」
退くんが追いつき、少し呆れたように言った。
「だって、美味しいからっ!」
「そうだね。」
そう言いながら退くんは屋台に近づき、
「おじさーん、綿菓子二つお願いします。」
はい。
と、綿菓子を手渡してくれた。
「え、いいの?」
「うん、この前おごってもらったからね。」
確かに、この前アンパンをおごったばかりだ。
「じゃ、遠慮なくー。」
少しピンクがかった綿菓子に思いっきりかぶりつく。
口いっぱいに甘い味が広がっていった。