main‐雪燐‐

□それはほんの出来心
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「こんな根っこ俺がぶった切ってやる!!!」


確かにそう聞こえた。



兄さんの腕の中にしえみさんがいる。
心なしか兄さんの頬が赤い。


それを見た瞬間、僕の中で誰かが言った。


兄さんから離れろ







「しょぉ〜がねぇ弟だなぁ?
この俺が手を貸してやらんこともない…!」




単純な思考回路の兄さん


…僕が何を考えているかも分かっていない兄さん。



「どーすんだよ先生!!」

…きた。





「こうなったら彼女ごと撃つしかない」





隣で兄さんが驚いたのが空気で分かる。




―あぁ…一瞬でも兄さんの全神経が僕に集中する。


…これほど嬉しいことはない。






悪魔は嘲笑う。






…ハッタリだと…?
何も知らないくせによく言う。




「そう思うか?」




自然と顔が綻ぶ。
どうしよう
このまま撃ってしまおうか?


それとも今は殺さずに…兄さんが悪魔だとバレるまでのさばらせておこうか?






きっと兄さんは傷つくだろう。




「そうかもしれないな?




さてどっちでしょう」





兄さんの


傷ついた顔を


思い浮かべながら








―僕は引き金を引いた。

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