小説
□"大好き"?
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「まーーーーーっき君!!」
「ぅわっ!!?」
俺を呼ぶ軽やかな声とは裏腹に背中に降ってきた衝撃。
……こんな事するのは…
「藍川!!お前は…いちいち抱きつくな!!」
「ぇえ〜??…もしかして槙君……意識しちゃった?
顔赤いよぉ〜〜〜???」
コイツはッ……!!
「男が男に意識するか!
そして早く離れろっ!!」
「あはは〜♪槙君ったら全然説得力なーい!」
「……はいはい…」
思わずこぼれたため息。
それに藍川が目ざとく反応する。
「もうっ!せっかく槙君の為に良いもの持ってきたのに!!」
「良いもの…?」
藍川が後ろに隠し持ってる"何か"。
大体だが予想がつく。
「うん♪…じゃーん!!!!」
…やっぱりか。
「槙君!ポッ●ーゲー「断る。」
今日はバレンタインだ。
朝から下駄箱、机の中、呼び出し…と典型的なアピールをされてきたので今更驚くつもりはない。
ましてや藍川が今手に持っているポッ●ーでどうのこうのしようなんて気は毛頭ない…
「むぅ…槙君!」
「ん?――んぐッ!?」
…つもりだった。
藍川に呼ばれ振り向いた途端、俺の口に何かが突っ込まれた。
…ポッ●ーだ。
まさかっ!!と思った瞬間にはもう藍川の顔が目の前にあった。
「ン"ーーー!!」
「ん♪」
近い近い近い近い近い近い近い近いッ!!!!!!!!!
顔が近いッ!!!!!
―モグモグモグモグモグ…
徐々に近づいてくる藍川の顔…
「ーーーー!!!!」
「…なーんちゃってー♪」
「…は…」
「…してほしかった?」
…ホントにコイツは…
「そんなワケないだろ…」
「まっ!ボクは槙君とならしても良いけどね♪」
「またお前はそういう…」
「?本当だよ??
だってボク、槙君の事好きだもん」
「なっ…」
「クスッ…
槙君だぁい好きっ!!」
振り向きざまに見た藍川の顔は…
―俺と同じ赤だった。
だから藍川の去っていく背中に俺も答えてやる。
「俺もだよ、…絆」