浪速星ノ王子様!Book

□こんなクラスもういや!
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『えへへ〜忍足先輩のアド☆』


白石から謙也のメルアドを教えてもらったユウキは上機嫌でいた。


『〜♪』


へったくそな鼻歌も混じりそうなほど、きっもちわるいスキップも混じりそうなほど、とにかく廊下をスキップするユウキは学校七不思議にも登録されるぐらいおかしかった。


『えーとえーと……まずは名前と登録よろしくお願いします、だよね』


「何一人でぶつぶつ言っとんのや」


『っ!ざ、ざざざざ財前んん!!!』


「ざざざざ財前んて誰やねん。どもりすぎや」


『だ、だって……』


「だって……?」


ニヤリとでも効果音がつけられそうなぐらいしてやったり顔の財前。
ユウキに自分とキスしたということを言わせようとしたことはバレバレであり、あきらかに確信犯である。


『……うっせ。なんでもあらへん!』


「…ツンデレやな」


『………』

えーとうん。これでいっか!


もうこの際、さりげに隣を歩くぜんざい豆やツンデレとか意味わかんないことほざいてる豆はほっておこうと決めたユウキ。
とりあえずさっき考えたメールの内容を打ち、打ち間違いがないか慎重に見直しした後、ユウキはいまだに送信ボタンをおせずにいた。


「誰にメール?」


いつのまにか携帯を覗き込んでいた財前に気がついたのは音が伝わってきてから数秒後だった。


『ざざざざ財前!!じ、自分なに見てんねん!』


「ふ〜ん…謙也さんのアド手に入れたんか。……誰にきいたん?」


『え……白石先輩だけど』


「なんで白石先輩?……まあまだ山田よりはマシか……ほな」


『あっちょ、待ちい!』


なんとかなりいきで送信ボタンを押したユウキ。


なぜか離れていく背中が寂しくて、追うように走った。


+++++++++++++++in授業


ピロリロリン♪


どこか聞き覚えのあるような着信音がしたが、あえての知らんぷり。


「今の……誰や。」


今は歴史の時間で当たり前のように歴史の先生はいてこの先生は特に怖い。

皆は黙ってウチに視線を向けてくるし先生ももうたぶんウチやってことはわかってるんだと思う。

ただ実際に見た証拠はないからハッキリとは言い出せないんだと思うけど。


「今の、ユウキちゃう?」

そして追いうちをかけるように、心配そうな顔をむけてくる隣のやつ。

その顔の裏に隠れてる笑顔がにくたらしいわ!

つか自分机の下に隠してる左手はどうしたんねん!現在進行形で携帯いじってるやないか!


まじその綺麗な顔面に一発パンチをお見舞いしたいわ。

でもこれで言い逃れはできなくなった。チッ…くそ皆の薄情者。


『私…みたいですねー。なんか〜電源きり忘れてたみたいでーあ、あはははは』


無理矢理はりつけた渇いた笑いしかでてこなかった。というより、皆の視線が痛い!


「さよか。次からは気をつけるように。……あと、無理に笑わんでもええで」


言ったぁああああああ!!クラス中から先生へ尊敬の眼差しがそそがれた。


「ぷっ……アッハッハッハ!!ユウキ最高やわ!アッハッハッハ!」


隣のやつは大爆笑やし。



こんなクラスもういや!



(その、屈服ない笑顔に不覚にもドキッとしたのは私の中だけのナイショ)

ウチが好きなんは忍足先輩やもん!

20120320

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