浪速星ノ王子様!Book

□ベッドに勝る物はない
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ダダダダダダダダ....ッ


な、な、な、なにが、何がオコッタ……?ユウキは考えようとする思考を停止するため、全速力で階段を駆け降りていた。


通りがかる生徒達は、うおっとかなんだ?とか言ってとにかく珍しい物を見る目でユウキを見た。


当の本人は周りの視線など気にしている余裕はなく、ただただひたすら走りに走ってたどり着いたのは


バンッ



『はぁっはぁっはぁ…』



そう、保健室。



『!!』



入るや否やキョロキョロと周りを見渡し近くにあった水道の蛇口を捻った

勢いよく出る水を飲むんでもなく己の唇にあてる。


『ぐっごほっげほっ』


水圧で息苦しくなりつい口を開けば容赦なく入り込む水。


(まじなんやねん…!)



今はそんな些細なことにまでイライラしてしまう。唇を離すと手で乱暴にぬぐいこすった。

なんども、なんども…
先ほどの温かい感触を忘れたいがために。


「自分、そないにこすったら唇きれてまうで」


『!!!』


突如聞こえた自分以外の声。
それに驚きを隠せないユウキ。それもそのはず、そこにいたのはある意味謙也とも財前とも関わりの深い白石だったのだから。


『なんでおるんすか……』

「うわいかつ!女子がそないに睨むんはよくないで」

いらっ

ただでさえイライラしているのにそのうさん臭い爽やか笑顔を見ると余計にイライラがましてしまう。


無言で部屋を出ていこうとすれば引き止められた。


「どこ行くん?」


『……教室戻りますわ』


「今から?とっくに授業始まってるで。わざわざ教師のうっさい説教聞きに行くなんて偉いなあ」


……今、とんでもないこときいちゃった気がする。教師のうっさい説教て、


『四天のバイブルがそないなこといっていいんすか』


「おっ初めてやな。俺の目見て喋ってくれたの」


『……はあ?』


「まあいいわ。どうせ財前がらみやろ?屋上には財前裏庭にはセンコーが自分みたいなサボりを待ち構えとるで。そう考えたら、ここが一番安全地帯やと思うんやけど」


『………』


「今なら話しを聞いてくれる心優しき白石君もついてくるで!」


どこかの店のキャッチフレーズのような喋り方をする白石。


それに冷たい目を向けるユウキ。


「……どや?」


悩みに悩んだあとの結論。


『……ほな、休ませてもらいますわ』



堅いコンクリの床よりも、虫だらけの青臭い草のうえよりも、ふかふかのベットには何もかてんっちゅー話しや!

あ、どう、今の。忍足先輩に似てませんでした!?//


ベッドに勝る物はない


実は誰かに話しを聞いてもらいたかったからなーんてことは絶対秘密。


20120320

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