物語
□それは過去形の、
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大好きだったんだ
数々のデータからなる
正確なテニスプレーも
高速で書き上げる仕草も
たまにふっ、と笑うところも
何もかもが大好きだったんだ
でも、
“聞いた!?あの柳君に彼女が出来たんだって!”
もう届かないね
彼の隣にはとても綺麗な女の子
余り笑わない彼が
彼女の前だと良く笑う
“ああ、叶わない…”
いつしかの憧れから恋心になった
もしもあのまま
憧れのままだったら
こんな思いしなくてすんだのかな…?
だけど、
そ れ は 過 去 形 の 、
“好きでいさせてくれて、ありがとう”