※10000ヒット記念のフリー小説ですvご自由にお持ち帰り下さい!!
知らない事と愛情
大人ぶってるクセにたまに子供みたいなアンタ。
こんな事言ったらアンタは怒るだろうけど
俺だけに見せてくれるそんな一面がとても嬉しいんだ。
お互いについて知らない事はまだまだ沢山ある。
それでも
1つずつでいい。
アンタを知っていきたいんだ
コノエの鋭い蹴りが賞金首のわき腹に食い込んだ。
カエルを潰したような鈍い声を漏らしながら、相手の雄猫が地面に倒れ伏す。
すぐに相手を押さえつけると手を後ろ手に縛り、動けないようにする。
その作業を終え、コノエは相棒へと視線を移す。
ライは二人相手に戦っていた。
しかし、その動作に危なげはない。
むしろ、相手をからかうようにわざと手を抜いて戦っているようにも見えた。
またか。
そう思いながらコノエは小さくため息をもらす。
狂気から解放された後もライは無意識のうちに強い者を求めていた。
これはリビカの本能なのかもしれない。
手助けをしようかどうか迷っているうちにライの長剣と短剣がそれぞれの雄猫の首を捕らえ、寸前で動きを止めた。
あまりにも早いその動きにコノエは無意識のうちに感嘆の息を漏らした。
やはり、ライは強い。
首筋に刃を当てられた雄猫たちは漸く諦めたようにそれぞれの剣を手放す。
剣は鈍い音を立てながら地面へと突き刺さった。
「予想してたより簡単だったな」
賞金首たちを縛りながらコノエが呟くと、ライはフンと小さく鼻で笑う。
「簡単過ぎてつまらん」
予想通りのライの言葉に苦笑をもらしながらコノエは賞金首たちを縛ったロープの端を持って立ち上がる。
あとは藍閃の役所に引き渡し、報酬を貰うだけだ。
藍閃に戻るのは久々だ。
トキノやバルドは元気だろうか。
アサトからの手紙は来ているだろうか。
様々な思いが溢れ、コノエの尾が機嫌よく揺れる。
ライはコノエの様子をちらりと窺い、ほんの少しだけ嫌そうな顔をした。
その変化をコノエは見逃さない。
自分よりずっと大人な猫のライだが、案外子供っぽい一面を見せる瞬間がある。
それは本当に一瞬の事だが、とてもライらしい。
可愛いなと思いながら、コノエはライの白銀の尾に自分の尾を少しだけ絡ませた。
それに気がついたライはばつが悪そうに顔を背ける。
その表情はいつもとあまり変わらなくて、見知らぬ者なら気がつかないかもしれない。
しかし、ほんの少しだけ絡んだ尾は離れることはなく、互いのぬくもりだけを伝えていた。
まだまだお互いに知らない所はたくさんある。
ゆっくりでいいから知っていきたい。
それだけアンタの事が好きだから。
絡めた尾のぬくもりの優しさに
抱く感情は愛しい人への好奇心と愛情。
※
10000ヒット有難うございます!
こんなにも早いスピードで大台達成出来たことが嬉しいです!!
まだまだ不定期更新が続きますが、頑張っていきます!!!