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涙の救済


もしも、世界に神様がいるのなら・・・。

どうか友の魂に救済を・・・


夜中突然目が覚めた。
胸が痛くて苦しい。
涙が溢れてきて止まらない。
刹那に浮かんだのはもういない親友の笑顔。
膝を抱えて嗚咽を殺す。
夜の静寂と冷たい空気が俺を包み込む。

「・・・ミカゲ・・・っ」

小さく名前を呼びながら、シーツへ顔を埋める。
とめどなく溢れる涙がシーツに染みを作っていく。
ずっと孤独だった俺に手を差し伸べてくれた。
彼がこの世にいないという喪失感と、自責の念に心が軋む。
彼がいなくなってから時折観るようになったこの悪夢。
いつもミカゲの最後の言葉で目が覚める。

「ごめ・・・俺のせいで・・・」
「テイト」

部屋に響いた低い声にはっとして顔を上げた。
そこには司教服ではなく、黒い私服に身を包んだままのフラウが立っていた。
涙を見られたくなくてぐいっと乱暴に服で拭う。

「・・・何の用だよ」

抱えた膝に額をつけながらそう言うと、フラウが近付いてくる気配がした。
きしり、と軋むベッドの音で彼がベッドに腰掛けたのがわかる。
互いに無言のまま、時だけが流れた。

「用がないなら・・・」
「テイト。泣きたきゃ泣いていい」

あいつらしくない柔らかな声音とともにくしゃりと髪を撫でられる。

「・・・・死んだ奴のために流される涙の数が多いほどそいつは安らぎを与えられるんだとよ」

そんなの生者が泣く理由を正当化しているだけだ。
しかし、それを言葉にする事は出来なかった。
堰が切れたように涙が溢れて止まらなくなる。
声を上げて泣き続ける俺の傍にフラウは一晩中いてくれた。
フラウの優しさに甘えて、俺は朝が来るまで泣きつづけていた。



神様がもし、いるのなら。

どうか俺の親友の魂に安らぎを。

俺はこれ以上泣かない。

泣いてなんかいられないから。

だから、今夜この涙をあいつのために・・・・。



10000ヒット有難うございます!
予想より早いペースでの大台達成に正直驚いています(笑)
こんなヘボサイトでも少しでも皆様に楽しんで頂ければ嬉しい限りです!
これからももそもそ頑張っていくつもりなので生暖かい目で見守ってやって下さい!!

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