スイッチ。

□10.いい子
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『おはよ、たっちょん』

「おはよー」



やっと来た。


たっちょん来んとつまんないの。

斜め後ろの奴も、その後ろの席の奴も、おもんない話ばっかり。

愛想笑いもしんどいくらいおもんない。





「やっさ…「なぁやっさん」

わざとなんか、それともぐうぜんなんか、俺に話しかけてきた奴の言葉をたっちょんが思い切り遮った。


『…なに?』


「なんかあったん?」


『なんで?』


「や、べつに。」



何が言いたいんかさっぱりわからん。





チャイムが鳴る。


他の奴がみんな席に座って、たっちょんが俺の後ろに座る。


ツンツンって背中つつかれてふりかえったらおでこを指で押されて


「無理矢理笑うな」って、

言われた。



やっぱりたっちょんは、

気付いてくれる。



『ありがと。でも今ので元気になったから、』



大丈夫。とおでこに触れる指を握った。


そう、大丈夫。

俺にはたっちょんがおる。





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