スイッチ。

□02,コミュニケーション能力
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「安田ー!」


授業が終わって、先生に声をかけられる。



『はい?』


「これ、持っていってくれへんか?」


はぁ?めんどくさ。

『あぁ、いいですよ。』

「悪いなぁ、いっつも」

ホンマじゃ、このハゲ。
『いえいえ、このくらい』





もしこれが、顔に出とったら大変やけど



そんなことは有り得ない。


優等生・安田章大は、笑顔以外の表情を知らない。




それに…──



「うわ、ヤス大変やな」

ほら。


『頼まれてもたぁ。』


「そんなん断ったらええやんか。ほら、半分貸して」



誰かが半分持ってくれる。

ついでに言うと、イメージアップにも繋がる。



『ええって、そんなん悪いもん!』


「あかん、可愛いヤスにこんな重いもん持たせられん。」


『ごめんなぁ、ありがと。』


申し訳なさそうに謝ってから、すごく嬉しそうに笑ってみる。







「(可愛い…)」



ほら堕ちた。





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