スイッチ。
□01,優等生
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なっがい話のキリがついて、
当たり障りのないようにそっと教室を出る。
向かうは、隣のクラス。
『たっちょん!』
「おぉ、ヤスおはよう。」
『おはよ。昨日言うてたCD持ってきたで。』
「マジで!?貸して!」
『ええよ♪』
俺は、あんまり人に物貸したりとかする質じゃない。
めんどくさいし、借りるんやったら自分で買えっちゅー話やし。
まぁ、そんなこと言うたらイメージ悪なるから適当にごまかしてすり抜けるけど。
でも、たっちょんだけは特別や。
たっちょんが言うならなんでも、いくらでも貸すよ。
惚れた弱みや。
たっちょんは、たぶん知ってる。
俺が、ほんまはみんなが思う優等生ではないこと、
ちょっと人とは違ってることも。
だから今更、たっちょんに隠し事をする気はない。
ただひとつ、
俺がたっちょんを、恋愛感情として好きやってことを除いては。
『返すのいつでもええからね。』
「わかった、ありがと。」
満面の笑みでたっちょんにバイバイ言うて、教室に戻る。
今日も、滑り出しは好調。
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