行事企画物語
□卒業式
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春が近づいた。それと同時にやってくる“卒業”
先日、高校入試が終わって、合格発表を待たずに卒業していく先輩達。
私の大好きなあの先輩も今日で卒業。
リョ「刹那」
『あ、リョーマ先輩』
私の大好きな先輩。
リョ「やっと見つけた」
『?』
リョ「これ」
そう言って握りしめた左手を前に出してきたので、私は両手を差し出した。
ポトン、と開いた手から落とされたのは、学生服のボタン。
『先輩、これって…』
リョ「俺の第二ボタン」
『な、んで…』
リョ「女子って、もらうんでしょ?好きな奴の第二ボタン」
確かに欲しいとは思っていたけど、先輩は凄くモテるから無理だと思ってたのに。
よく見ると先輩の学ランにはボタンがひとつもついてない。
リョ「大丈夫。それは絶対第二ボタンだから」
私の視線に気付いたのか、リョーマ先輩は真面目な顔でそう言った。
リョ「それだけは守った。あとは、押し寄せてきた女子に全部取られたけど」
あー、疲れたと言って、先輩はまだ咲いていない桜の木にもたれかかった。
私はもらったボタンをギュッと握った。
『先輩、あの!』
先輩の綺麗な瞳が私を捉える。
告白しよう、大好きな先輩に。私の想いをすべて。
いつもは自身がない私だけど、今日なら告(い)える気がする。
私の初めての告白は、もう目の前。
祝卒業!
(好きです!)(…やっと、聞けた)