碓×ミサ☆小説


□最愛
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大学生になって、二度目の秋。

夕焼けがいつもより赤く感じた。

授業が終わるとすぐにメイド・ラテにやってきた。

今日は美咲の誕生日。

バースデーイベントがあるのだ。

定番になった猫耳と尻尾を付け、ホールに出る。

「ミサちゃん、お誕生日おめでとう!」

いつもより沢山のご主人様達が歓迎してくれた。

「ありがとうございます、ご主人様!」

美咲も嬉しそうに応えた。

「美咲ちゃん久しぶり!」

「深谷も来てくれてありがとう!」

高校を卒業して専門学校に通っている陽向はカリキュラムが忙しく、メイド・ラテには久しぶりに来たのだ。

「アイツから連絡あった?」

「1年近く音信不通だよ。」

「そうか……困ったことがあったら言ってな!力になるけん!」

「ありがとう、深谷。」

陽向は明るく笑った。

「お店が終わってからみんなでミサちゃんのお誕生日を祝ってカラオケに行くんだけど、ヨウ君もどう?」

さつきが誘った。

「行きます行きます!楽しみ!」

子犬のように陽向ははしゃいだ。



カラオケで歌いプレゼントをもらって美咲は帰り道についた。

陽向が送っていくと言い張ったが、頑として断った。

「一昨年は、碓氷が送ってくれたんだ……」

蘇るのはいつも楽しかった思い出ばかり。

何故、何の連絡もしてこないのか分からない。

ただ、自分に出来ることは、碓氷の帰りを待つことだけだ。

薄暗い夜道をとぼとぼと歩き、もうすぐ我が家に着くその時だった。

家の前に背の高い男の影があった。

見覚えのある、少し猫背の細身の姿。

美咲は唖然として立ち尽くした。

「わぉ!会長だ。」

美咲に気づいたその男は、からかうようにそう言った。

「それが久しぶりに逢う彼女に言う言葉か!」

美咲は嬉しいよりも怒りで声を震わせた。

「ごめんね、嬉しすぎてなんて言って良いのか分からないんだ。」

「ただいま…でいいだろ?」

「ただいま、美咲。」

「おかえり、たくみ…!」

持っていたプレゼントを投げ捨て、美咲は碓氷に飛びついた。

碓氷はかきむしるように美咲の背中を抱き締め、舌を差し入れ貪った。

「たくみ…たくみ…夢じゃないよね?」

「夢じゃないよ。お誕生日おめでとう!」

美咲はぎゅっと抱きついた。



荷物を家に預け、碓氷と駅前のホテルに向かった。

「美咲の匂いだ…」

碓氷は美咲を抱き締め頬ずりした。

「俺のキス覚えてる?」

「忘れるわけ無い…」

触れた途端に蘇る思い出。

美咲は自ら唇を重ね、何度も碓氷を求めた。

器用にボタンを外し衣服を剥がしとり、美咲を裸にして抱き上げベッドに運んだ。

身体を重ねただけで、美咲の奥は煮えたぎるように熱くなった。

乳房を這い回る舌先も覚えている。

腹を、背中を、撫で回す指先も覚えている。

「たくみ…たくみ…!」

碓氷の頭を掴み、美咲は身体をくねらせた。

「我慢…出来ない!」

美咲の太ももを押し開き、碓氷ははちきれそうな身体を美咲の中に繋いだ。

「あぁっ!あっ、あっ、あっ、たくみっ!」

夢中で揺れる美咲の身体が熱く火照ってくる。

喘ぐその声は、恋しくて聞きたくて、狂おしいほど願ったものだ。

「美咲…もっと…もっと…聞かせて。」

碓氷は繋いだ身体を離し、濡れた股間に舌を這わせた。

「いやっ…たくみが来て!」

細くしなる脚を碓氷に絡め、美咲はねだった。

仰向けになった碓氷は、美咲の手を引き跨がらせ、繋ぎ合わせた身体を激しく突き上げた。

「あっあっあっ、んっあぁっ!」

仰け反り身体を震わせる美咲を今度は組み敷き揺らした。

「美咲…好きだ…好きだ…!」

二人で絶頂を迎え、美咲は碓氷を離さないように固く抱き締めた。

「待ってた、たくみが帰って来るのをずっと待ってた。」

「遅くなってごめん。兄貴が元気になってやっと解放されたんだ。」

優しい仕草で美咲の頭を撫でた。

「その代わり、碓氷家とウォーカー家の庇護は無くなった。住んでいた家も追い出された。俺は今身一つなんだ……正直、美咲に逢って良いのか迷った…」

「構うものか!貧乏なら慣れてるし、どんなに苦労したってたくみと一緒なら平気だ!」

美咲はチュッチュッと碓氷の頬にキスをした。

「ああ、美咲がいるだけで何でも出来る。がんばれる。」

ニコリと微笑み、碓氷は唇を合わせた。

「もう一回していい?」

「一回だけじゃなくて、一晩中して抱いてくれ!」

「さすが会長♪」

美咲は身体を起こし、碓氷に何度もキスをした。



☆END☆


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