碓×ミサ☆小説


□フォトフレーム
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一日碓氷と遊んだ帰り、いつものように彼の部屋に立ち寄る。

夕飯作りを碓氷に任せて、その日撮ったデジタルカメラの画像を碓氷のパソコンに移していた。

「パソコンのデータが俺の顔だらけだ!」

苦笑しながら碓氷が覗き込む。

「これなんかいい笑顔だろ?」

美咲は撮った写真を得意気に見せびらかした。

「被写体の勝利だね♪」

照れもせず碓氷は言い返す。

「俺は美咲を撮りたくてそのデジカメ買ったのになー!」

「いいんだ!私が撮りたいのは碓氷なんだから!」

美咲もニッコリ笑って言い返す。

「今度ミサちゃんのオールヌードでも撮ろうかな?」

「バカっ!そんな写真撮らせるかっ!」

美咲は真っ赤になって腕を振り回した。



夕飯を食べ終わると、碓氷はいつものように美咲を背後から抱き締めた。

「ねっ、お風呂にする?それとも俺にする?」

こんなことを言えばいつも必ず美咲は赤くなり、ギャーギャー言いながらも碓氷にまとわりついてくる。

しかし、今日は違っていた。

「す、すまない、今日はもう帰ろうと思うんだ……」

碓氷は一瞬戸惑った。

「どーしたの?」

「その…つまりだな、母さんが心配してるんだ。」

美咲はしどろもどろでそう言った。

「最近お前の家に泊まってばっかりだろ?…勉強のことはともかく…あ、あの、そのっ、ちゃんと…えーと、避妊はしてるって言ってるんだが…それでも気になるみたいで……」

「俺、あのでっかいベッドに独りきりで寝たくないなぁ……」

碓氷は拗ねたように鼻の頭に皺を寄せ、目を細めた。

「す、すまない、あの……」

美咲はもぞもぞとうろたえた。

「送っていくから仕度して。」

一言呟くようにそう言うと、碓氷はすっと立ち上がった。



電車の中でも、駅から家までの道のりでも、碓氷はほとんど口を開かなかった。

こんなに静かな男だったのだろうか。

繋いだ手さえ、美咲には冷たく感じた。

美咲の家に着くと、碓氷はやっと「じゃあね。」と言った。

「碓氷……」

服の裾をちょこんと摘んで美咲は引きとどめた。

「怒っているのか?」

「怒ってないよ。」

まともに碓氷の顔が見れず、美咲はうつむいたままだった。

「でもお前、さっきから黙ったままじゃないか。」

「だって……帰らないでって言っちゃいそうなんだもん♪」

見上げれば、目を細め愛おしそうに見つめる碓氷…

美咲は思わず抱きついた。

「すまない……自分から帰るって言ったのに……碓氷と離れたくない……帰りたくない……」

なんてワガママなんだと美咲は自分を罵倒した。

「いいよ。今日はお母さんのために帰ろうね♪」

そっと優しく碓氷は美咲の頭を撫でた。

「さっき撮った写真、プリントアウトしておいたよ。寂しくなったらこれを観てね♪」

笑顔の碓氷がそこにあった。

「碓氷……キスして、今日一晩分……」

美咲は少し背伸びして、碓氷の唇を求めた。

合わさった口から差し込まれた舌がいつもより熱く美咲を求める。

背中に回された手が欲しいものを求めて腰から下に下がっていく。

普段ならこのままベッドに連れて行かれ、裸になってお互いの熱を確かめ合うのに……

美咲は自ら碓氷の舌を求めて何度も口を合わせた。

長い間キスをして、すっかり身体が冷えた頃、やっと碓氷は美咲を手離した。

「これじゃあ明日までキスしそうだ。」

「何のために帰ったか分からないな。」

美咲もクスリと笑った。

「また明日、学校でね!」

頬にチュッと口づけし、碓氷は駅へと向かっていった。

「そーだ!後で電話でエッチしよ♪」

「そんな恥ずかしいこと大きな声で言うな!」

美咲は赤くなった。

姿の見えなくなった道をいつまでも美咲は眺めていた。

碓氷がいない、ただそれだけで、何故自分の身体の半分が無くなってしまったように思うのだろう……

「この写真、部屋に飾っておこう…額はあったかな…」

美咲は笑顔の写真を持ち上げ、チュッと口づけをした。




☆END☆


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