碓×ミサ☆小説
□夕暮れの帰り道、朝焼けのベッド
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「さよなら会長、碓氷さん!」
「さよならー!」
美咲と碓氷が並んで 下校していると、すれ違う生徒達が次々と挨拶をする。
「鮎沢はいまだに会長なんだねー♪」
「引退してずいぶん経つんだけどな…」
美咲は顔を赤らめ、恥ずかしそうに口元を歪めた。
「このあとバイトじゃないよね?うちに来る?」
「すまん!今日は母さんが夜勤で紗奈が修学旅行でいないから家を空けられないんだ。だから碓氷の家には行けないよ。」
突然碓氷の瞳がキラリと光った。
「じゃー今日は鮎沢の家に泊まらせて!いつもと違うシチュエーションだとなんか萌えるねっ♪」
「バッ、バカ言うな!いつもみたいなことされたら近所中に聞こえてしまうだろ!?」
「猿ぐつわしてみる?」
「お前はウチに来るなー!」
美咲は碓氷を置き去りして全力で駆け出した。
「泊めてよ美咲ー!」
ニヤニヤと顔を弛ませながら、碓氷は後を追った。
結局、近くのスーパーで二人分の食材を買い、美咲は碓氷と手を繋いで我が家に向かった。
見慣れた道の夕焼けが何故かいつもと違って見えた。
「夕飯は私が作るからな!カレーだけど…」
「鮎沢の手料理なら何でもいいよ!」
目を細め嬉しそうに碓氷は微笑んだ。
家に着き、早速夕飯作りに取りかかると、碓氷は大人しくしかしマジマジと美咲を見つめた。
「頼むからテレビでも見ていてくれ!」
「俺テレビに興味無いもーん!」
「そんなに見つめられると恥ずかしいだろ!」
「いーじゃん!美咲もだいぶ手慣れてきたね。」
「紗奈に教えてもらっているからな。」
トントンとジャガイモや玉ねぎ人参と肉を切り、鍋で炒めて煮込む。
碓氷はその様をひたすら嬉しそうに眺めている。
「…なんだかやっぱり違和感があるな。お前がこの家に居るのは。」
「そーお?」
碓氷は立ち上がって美咲に近付き、後ろから抱き締めた。
「俺の体温で存在を確かめる?」
「ちょっと待て!まだ料理の途中なんだ!」
「食べる前にしよ♪」
すっかりその気なのか、もぞもぞと身体を弄り、碓氷は頬に唇を当てた。
「もうすぐ出来るから待っててくれ!」
美咲は絡みつく碓氷を振り払った。
出来上がったカレーはいつもと同じ材料なのに、いつもと味が違う気がした。
「いただきます♪」と手を合わせ、碓氷はあっという間に平らげ、「ご馳走さま♪」とまた手を合わせた。
「どうだった?不味くなかったか?」
「普通に美味しかったよ。美咲の愛情たっぷりだから。」
「お前、いちいち言うことが恥ずかしいんだよ!」
美咲は真っ赤になりながら、皿を片付けた。
「もーいいかい?」
碓氷はまた後ろから寄り添った。
「ふっ、風呂はどうする?」
「一緒に入ろうか?」
クルリと美咲を回して、碓氷は唇を重ねた。
「カレー味のキスだね♪」
可笑しそうに碓氷は笑った。
「やっぱりお風呂の前に一回しよ♪」
美咲の手を引き、2階に上がった。
向かい合うと、碓氷はいつものようにキスをしながら服を脱がせていった。
首筋を舐め、剥き出しの乳房を頬張り、下ろしたスカートの上に下着を下げ重ねる。
裸になった所を余すことなく舐めまわし、美咲を狂わせていく。
「あっ、あっ、あっ…!」
「おいで…」
ベッドに美咲を横たえ、その上に身体を重ねた。
「声…きっと我慢出来ないから、たくみが口を押さえていてくれないか?」
上目使いではにかみながら、美咲がねだった。
「いいよ♪いつもより感じさせるから!」
身体を繋ぎ合わせると、突き上げるように激しく揺さぶった。
「たくみっ、イイ!あっ…あぁ!あっ…んっ…!すごい…!あっ…あぁ!」
淫らに喘ぐ美咲に、碓氷は身体が熱くなる。
止めることの出来ない欲情が芯から溢れてくる。
その時、メリメリと奇妙な音がした。
ズンと二人は崩れて落ちた。
「ベッドが…!」
見れば、底板と枠組みが折れていた。
「激しくし過ぎたかなー?」
碓氷はクスクスと笑った。
「すまない!ウチのベッドがボロだから!」
慌てて美咲は謝った。
「いいよ♪今直すから。」
碓氷はスタスタと1階に行き、大工道具と板を持ってきて、トントンと修理した。
「この前の床板の修理で板が残っていたのか。そう言えば、床も全部碓氷が直したんだな…」
済まなそうに美咲は呟いた。
「案外簡単なんだよ。大工仕事なら俺に任せて!」
ベッドはあっという間に元通りに戻った。
「こんなハプニングも楽しいよ。」
「お前は本当に何でも出来るんだな…」
「そう、困ったことがあるなら何でも俺に任せてよ。いつでも助けに来るから。」
「お前の家と違いすぎるな…」
美咲はどんよりと落ち込んだ。
「碓氷といると夢のようだ。ふわふわして楽しい。だが私の日常は違う…」