碓×ミサ☆小説
□虎の憂鬱
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「あっ、あっ、あっ、あっ…」
碓氷に組み敷かれ、腕の中で美咲は喘いだ。
「イイっ…!たくみっ!もっと…もっと!」
背中に回した腕で、碓氷を強く引き寄せた。
腰を振り、美咲の奥を刺激しながら、碓氷はフフッと笑った。
「ミサちゃん、欲張りだね♪こんなに感じてるのに…?」
繋がった身体から溢れる水音がクチュクチュと高まる。
「欲しいんだ…たくみがもっと…」
抱きしめられたまま、美咲は碓氷の唇を求めた。
身体を合わせたままでは、わずかに届かない。
もどかしい思いで、碓氷の口を指でなぞり、中に入れて舌に絡めた。
「美咲が欲しいならいくらでもあげる…」
碓氷は美咲の指を舐め返した。
「キスしたい…」
「じゃあ、抜こうか?」
「繋がったままじゃなきゃイヤだ…」
「それはちょっと難しいな!」
目を細め、顔を赤らめ、碓氷は嬉しそうに美咲の頬に指を這わせた。
届かない。
わずかに碓氷の唇に届かない。
美咲は碓氷の指を喰わえ、舌を絡めて欲情を満足させた。
放課後、碓氷の姿は既に無かった。
卒業まで星華高校に残ることと引き換えに、呼ばれれば何時でも碓氷家に顔を出すことになっていた。
「美咲ー!碓氷君がいないなら、私達と遊ぼうよ!」
さくらとしず子がやってきた。
「さくらさん!遊ぶだなんて、受験生にあるまじき事です!」
眼鏡の奥のしず子の瞳がギンっと光った。
「たまにはいいでしょ!碓氷君とのことも聞きたいし♪」
さくらは両手を合わせてクネクネとおねだりした。
「う、碓氷のこと?」
「そーよー!順調なんでしょ?」
「ま、まぁな!」
美咲はしどろもどろになって答えた。
「詳しい話はお茶でもしながら聞こうか!」
さくらが美咲の腕を取り、ぐいぐいと引っ張って歩いた。
「待ってくれ、さくら!」
「諦めてください、美咲さん。さくらさんは勉強のし過ぎで恋話不足なんです!」
しず子はまた眼鏡の奥の瞳をキランと光らせた。
校門を出た所で、美咲達はハッと足を止めた。
大きな車が行く手を阻んでいた。
ガチャリとドアが開いて、中から五十嵐虎が現れた。
「ちょっと顔貸してもらおか♪」
「何の用だ。」
虎は皮肉な微笑みを浮かべた。
「あいつ、今日は碓氷の家にいっとるやろ?」
「だから何だ?」
「お前に忠告したろと思ってな!」
「美咲!言うこと聞かなくていいよ!」
さくらとしず子が美咲の盾になった。
「お前が傷つかんようにと思って、話をしに来たんやけどなぁ…」
虎はふーっとため息を吐いた。
「話ならここで聞こう!」
美咲はキッパリと言い放った。
「あいつは今日碓氷の家で見合いをしとるんや。」
「えっ…!?」
美咲は青ざめた。
「み、美咲!」
さくらが心配して美咲にしがみついた。
「もういい加減諦めろ。お前とあいつでは釣り合わんのや。」
「あなたには関係無いことだろう!」
美咲の怒りは爆発した。
「碓氷と別れたら、俺が愛人にしてやるよ。」
そばに寄って、美咲の顎を掴もうと、虎は手を伸ばした。
「俺の恋人に気安く触らないでくれる?」
あと少しの所で、虎の手は阻まれた。
「碓氷っ!」
碓氷が虎を捕まえ睨みつけた。
「おぅ、見合いはどないなったんや?」
「断ったに決まっている。」
「それで済むと思っとるんか?」
「少しくらいの障害は覚悟してるさ。」
碓氷は不敵に嗤った。
「後悔せんとえぇなぁ!」
虎はくるりと背を向けて、車に乗り込み消え去った。
「碓氷…大丈夫なのか?」
「俺、ちゃんと恋人は美咲だけだって言ってきたよ!」
「あほ碓氷!そんなことをしたら…」
「だって、揺るぎない事実でしょ?」
美咲を抱き寄せ、碓氷は唇を重ねた。
「碓氷…碓氷…たくみ…!」
美咲は碓氷の首に腕を絡め、夢中で唇を押し付け舌を絡めた。
「届くんだな…たくみに…」
「俺は美咲の隣りに居るよ!」
碓氷も我を忘れたようにキスを返した。
「美咲さん、大胆になりましたね。あんなに碓氷さんとの仲を隠したがっていたのに…」
しず子がふーっとため息を吐いた。
「恋話は聞けなかったけど、ラブラブなのはよく分かったわ♪」
さくらもハートを散らせながらクネクネと身体を捩った。
「美咲ー!話は今度ゆっくり聞くからねー♪」
二人の世界に入り込み、抱き合う美咲と碓氷を残し、さくらとしず子は去っていった。
☆END☆
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