ver日吉若



『ピヨー、お願いがあるんだけどー…』


語尾にハートでもつきそうな勢いで上目遣い。



「なんですかキモチ悪い」





「ぬあー!!彼女（であり先輩）に向かってなんて事言うんですかこの子は！！」





「で、なんです？お願いって」





『（スルーとか･･･）あ、えっとね、此処教えて？』





「先輩？俺、年下ですよね？」





『ええ勿論』






「その年下に聞くんですか？」






『エエ勿論』






「貴方は馬鹿ですか？」






『ええ、勿論。壊滅的に』





「自慢できる事ですか？」





『ええ勿論！！』





「なわけがないでしょう！！」


日吉くん、半ギレ。



『そんなに怒んないで、教えてよー』




「仕方ない人ですね･･･。いいですか、ここはですね･････」




『ふむふむ』



――…



そこから日吉先生の数学講座が開かれ、みっちり教え込まれました。



『解った!!ありがと若!!教え方うますぎ!!』



「まったく･･･先輩、これで俺が教えたところ間違えたらデコピン一発ですから」




『えぇ！？ピヨのデコピン痛いんだよ！！』




「それから、８０点きったら“ピヨ”って呼ぶの禁止」





『よし、がんばろ』




「そんなことでやる気出さないで下さい」




『打倒日吉！！』




「え、俺なんですか！？まぁ･･･滅多にない下克上のチャンスだ･･･俺の方はしっかり１００点取らせてもらいますよ。覚悟してくださいね、くろこ先輩？」





せっかく珍しく名前を呼んでもらえたのに、
最後の日吉の表情がめちゃめちゃ怖くて教えてもらった事全部忘れちゃったくろこ。



勝負は･･････まぁ、言わずもがな、ですね。




（いった！ひどいよ、もっと加減してよピ…）
（ピヨって呼ぶの禁止）
（うわあああん！！鬼！）