「奪っちゃったー☆ファーストキスだったりして?」
「Σお前…何すんねェェん!!!!!!」
ファーストキス懐かしの○茶のCMの松島○々子よろしく、パンダのぬいぐるみを謙也の唇に押し付けると、ものすごい勢いでツッコミをもらった。
「ありゃりゃ?本当にファーストキスだったかにゃ?」
「だあああああ!!!」
「どうだった?唇のお味は」
「変な聞き方すな!!!お前頭おかしいやろ!んなケバケバしたもん口に押し付けよって…!こないなしょうもないぬいぐるみとのキッスがファーストキスだなんて何があっても認めへん!」
謙也はぬいぐるみをくろこの腕から奪い取る。
「私のお気に入りのダバちゃんになにすんのさ!そこいらのぬいぐるみなんかと一緒にしないでよね」
「知るか!同いやろ!!メチャメチャ古臭いやんか」
「違うもん!!これは、昔・・・」
「・・・・・・・・?」
「昔、侑士がくれた奴だもん・・・」
「・・・・・・・・・・」
少し不機嫌になる謙也。
それに気付かず続けるくろこ。
「私が謙也と喧嘩した時、仲直りしたくて謙也が自腹切って買ったんや、でもくろこが会ってくれへん言うてたから、俺が持ってきたんやでって侑士が言ってたもん」
「………!」
「だから・・・大切なんだもん」
「俺は・・・・・・お前が1番大切や。せやから、ぬいぐるみにファーストキス奪われたままなんは気に食わへん。くろこ・・・お前とやなきゃ認めへん」
「謙也っ・・・・!」
「好きやで、くろこ」
いつもヘタレな謙也からのシンプルな告白が、くろこは何よりうれしかった。
「あたしも好きだよ、謙也」
顔を見合わせて小さくはにかんだ二人は、手をつなぎながら部室を出ていった。
(あ、でもあたし、もうファーストキスは経験済みなんだよね……)
→オマケ