柳くんと一緒

□柳くんの関東大会
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関東大会決勝。
今年は青学が決勝まで上がってきた。中学時代青学の柱……越前リョーマ、ゴールデンペアの片割れの大石、そして手塚が不在の今、正直青学がここまで上がってくるとは思わなんだ。

「まーた立海と戦うことになるとはねーん」
菊丸がチラリと真田を見て言う。対する真田も、挑発的とも威圧的ともとれる視線を菊丸に無言で送っている。……青学側の部長である大和さんも呆れているな。

「中学の頃のようにはいかん。手塚も越前も大石も不在の今……今年も我々立海が優勝する」
「へへーん、俺だっておーいしいなくても十分強いんだかんね」
「ほう、それは楽しみだな」
「真田、熱くなるのは良いけど、少し暑苦しいから控えめにしてね」
「っ、幸村……。すまない」

ふふっと笑う精市は、テニスが関わるとまるで別人だ。普段は温厚そうな見た目そのままで、少しうざくて(←)若干不思議人物の様な印象を受ける(クラスメートが、精市が宇宙人と交信している姿を見たと豪語していたことは記憶に新しい)柔らかな青年なのだが、一度テニスに触れると、その綺麗な微笑みからは想像もつかないような毒を吐く。言葉の暴力とはよく言ったものだが、アイツの場合は最早凶器とも言えよう。この柳蓮二も、精市の刃に何度枕を濡らしたことか………、と言うのは流石に冗談だが、棘が地味に突き刺さったことは多々あった。
二重人格なのではないかと疑うほどの豹変ぶりだ。
精市の一言に若干落ち込んでいる真田を見て、苦笑いを浮かべている大和さんと、清々しい程に爽やかな笑みを湛えている精市と大和さんが握手をすると、正審が一歩前へ出て口を開く。

「これより、青春学園対立海大附属の試合を始めます。両者、共に礼」
「「よろしくお願いします」」

審判の宣言で俺たちは頭を下げる。

さあ、関東大会決勝の幕開けだ。


俺たちは全力で勝ちにいく。
それが、王者立海大。
それが、俺たちの歩むべき道。


礼がすんだ後に、俺達はコートの傍らに集まり円陣を組む。もはや決勝恒例となったこの円陣で皆が口にすることはただひとつ。俺達は暗黙の了解でこの一言を声高らかに発するのだ。
ただひとつの思いを、何重にも重ねて
ただひとつの信念を、何重にも重ねて


「「「「常勝立海大!!」」」」


さあ、俺たちのテニスを始めようか。




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