柳くんと一緒

□柳くんの関東大会
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「「「ありがとうございました!!」」」

決勝が終わった。
今年の優勝も立海がものにした。

それもそうか、と思うのも無理はない。
青学だって確かに、あの3人がいなくても十分全国で戦いぬける強いチームだ。だが、やはり何かが足りないのかもしれない。

菊丸も、高校が離れた大石が応援に駆け付けた途端に怒涛の勢いで反撃を見せたが、やはり弦一郎に挑みかかるには少々エンジンがかかるのが遅かったようだ。
大和さんはちゃっかりうちの仁王に勝利をおさめていたが、海堂は柳生が、不二・桃城ペアは丸井・ジャッカルペアが倒して、試合は終了となった。

「ひどいナリ。俺だけ負けたぜよー、やぎゅー」
「努力が足りないのではないですか?」
「……この毒舌似非紳士め。そこはペアとして慰めるところじゃろーに」
「ペアというのは傷を舐め合うものではありません。ペアとしてあえて厳しくしているのですよ」
「いらん優しさじゃ」

いじける仁王を全く気にしない柳生も柳生だが、負けたというのにおちゃらけている仁王もどうなのだろうか。これでは弦一郎から鉄拳制裁(威力弱めVER)が与えられる可能性……

「仁王!負けるなどとはたるんどる!」
「げぇっ、鬼さんが怒ったぜよー」
「きええええええ!待たんかあああ!」

……言わんこっちゃない。
確率を出すまででもなく鉄拳制裁が始まったのだが、もはや何も言うまい。まだ表彰まで時間があるので泳がせておこう。そのうち精市あたりが動くだろう。

「やーなぎクン」

頭の中でいろいろ考えながらコートを出ると、聞き覚えのある心地よいソプラノが降ってきた。

「やあ。お疲れさまだね」
「竹本か」
「おやおやー、あんまり驚いてないようだね」
「そんなことはない。顔に出ていないだけだ」

正直なはなし、本当に驚いている。
一応、関東大会見に来ないか、と誘ったことはある。だが、日にちを言った瞬間「あー、その日部活だわ、ごめん!」といって断られた。あっさりだ。一刀両断とはこのことか、と思わず頷いてしまったほどだ。なのにここにいるというのは一体どういった理由からなのだろうか。

「うんうん、なんでいるのかって聞きたそうな顔だね」
「ご名答だ」
「なら答えてあげるが世の情けって感じ?」
「ムサ○と○ジローだな」
「ツッコミはありがたいけど、そのクール顔でそんなこと言わないでください柳様」

はぁ、と肩をすくめた竹本だが、すぐに気を取り直して説明を始めた。

「ま、簡単に言っちゃうと、部活は午前中だけだったから、来てみたらギリギリ間に合ったってとこだね」

説明はすぐに終わった。

「試合は見ていたのか?」
「んまあ、真田くんと菊丸くんの試合は見たよ。菊丸くんって本当に人間なのかな?」
「人間だ」
「分身していなかった?」
「そうだな」
「……ああ…あれで普通、なのね……」

明後日の方を向きながら何かを悟ったような顔をしている竹本だったが、次の瞬間猛烈な衝撃によってその体制を崩すこととなった。





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