中編

□30日
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2歳下の妹に「見たい映画があるから、一緒に行かない?てか、行こ。行くよ、ねぇ?」と、脅され…、いや、誘われ、年末で馬鹿みたいに人がたくさんいる街に来ていた。
いやに目につく、溢れるほどのリア充。

でも、今や俺にはマサトという恋人がいるんだ。
そう考えると、しばらく前までの濁った感情はどこかに身を潜めたように思えた。

…なんか、ほだされてる?


「みーくん?」

「亜子(アコ)、…この映画、本当に見たかったのか?」

アコ、というのは、俺を脅し…、いや、誘った妹の名前だ。
兄の俺が言うのもなんだが、かなり可愛い。
性格は、たまに難有りだけど。

「まぁね。色々と、見所があるから…。うふふ。」

やけに嬉しそうに笑うアコ。
そんな可愛い妹を見てると、自然と俺も口角が上がってしまう。
昔からコイツには敵わない。

「お前が良いなら、良いんだけどさ。」

でも、まさか、人も物も綺麗じゃなければ受け付けないアコが、ムキムキマッチョな外国人俳優が主役のアクション映画を見たいなんてなー。
あんまり有名じゃないみたいだし。

さらに、見に来ているのは女子ばかりという、よくわからない現象が起きている。
ちらほらと男子もいるけど、やはり目につくのは女子、女子、女子。


「そろそろ行こうよ。もう時間。」

「あぁ、そうだな。アコ、なんか飲み物とかいるか?」

「みーくんの奢り?」

くっ…、目をキラキラさせやがって…。

「当たり前だろ。なんてったって、バイトしてるからな。」

故に、こう言うしか、俺には出来ない。

「みーくんってば、ふとっぱらぁ!」

「…、何が良い?コーラ?」

「うん!」

本当に、もう、可愛い奴だな。


「すいません。コーラのLを2つ。あと、ポップコーン1つで。」

「かしこまりましたー!」

眩しい笑顔を向けてくる店員のお姉さん。
当然、アコの方が可愛いけど。

…そういえば、結構前に俺とアコで歩いていたら、クラスメートに彼女か?って聞かれたなぁ。

家でそれをアコに言ったら、「違うって言ったよね!?」と、まぁ、悲しい一言を頂いた。
いや、ちゃんと否定はしたけどさ…。


「うっし。行くか。」

お姉さんからコーラとポップコーンを受け取り、指定された部屋に向かう。

「うん!」

スキップでもしそうなくらい、アコは上機嫌だった。



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