中編
□26日
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「はぁぁぁ…。」
長ったらしい溜め息がウザいのはわかってる。
こんなの、いつもの俺じゃない。
でも、いつもしないことをしてしまったんだから、いつもの俺じゃないのは仕方ない。
「はぁぁぁ…。」
…今日、バイトじゃんか。
どんな顔してマサトに会えばいいんだよ。
いや、マサトは、あれ、あの、き、…キス、のことは知らないはずだから、俺が1人で変な顔していることになるだろうけど。
あああああ。
俺、なんでキスしちゃったんだろ。
ぜんっぜん、わかんない。
あ、マサトが抱き締めたりなんかしたから、…可能性は無きにしもあらず。
まぁ、自分がしたことには、出来うる限りの責任を取りたいと思うけど、こればっかりは、どうにも…。
ん?これ、責任取ること?
いや、でも、男にキスされたなんて、ただの汚点だろ…。
駄目だ。
全体的に俺が悪い。
「はぁぁぁ…。」
何度目になるかすらわからない溜め息を吐いた。
そのとき、
ピンポーン
「はーい。」
パタパタ
チャイムの音、母さんが返事する声、小走りするスリッパの音。
嫌な予感しかしない。
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