中編

□24日
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「はぁ…。」

「溜め息なんか吐いて、どうした?」

背後から聞こえた声に驚いて振り向くと、予想通りの人がいた。

「おわっ!?マサト、おま、いたのかよ!!!」

「あぁ。気付かなかったか?」

「うん…。」

ぜんっぜん、わからなかった。

ちなみに、今、俺達がいる場所はバイト先の更衣室。
もう上がる時間なので私服に着替えていたところだった。
…足りない脳みそで考えながら。

「そうか。すまなかったな。」

「い、いや、大丈夫…。」

俺の頭を今の今まで悩ませてくれていたのだから、大丈夫ではないのだけれど。


「なぁ、ミチル。」

「な、なんだよ?」

「明日のシフト、確か、夜からだったな?」

「おう。…どうかしたか?」

俺がそう問うと、マサトは少しためらいがちに口を開いた。


「今日、このあと、家に泊まりに来ないか?」

「!!!」

「あ、いや、別に、やましいことをしようとかじゃなくてだな…。」

マサトにしては珍しく、焦っている様子だった。

「ここからだと俺の家の方が近いし、明日はクリスマスだから、バイト前にデートでもしようかと思ってな。」

「でで、で、で、でーと…?」

そうか。
付き合うとなると、デートなんかもするんだ…。


「嫌なら良いんだ。忘れてくれていい。」

「いや、行くよ!どうせ暇だし!」

泊まりに行くこと自体は以前から何回もあったし、断る理由もない。

「そうか。じゃあ、何か食べるもの買ってから帰ろうか。」

「うん。」



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