中編

□23日
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12月23日 午後11時を少し過ぎた頃。

冬休みだからと始めた短期のバイトの帰り道。

連れ立って歩くのは幼稚園来の親友である、須磨 昌人(スマ マサト)だ。
イケメンだけど、チャラチャラしてないし、というより、むしろ硬派なくらいで、確かにあった羨ましさが吹き飛ぶほど女子にモテる。

でも、彼女がいたことはない。
どうして、と尋ねたら、昔から好きな人がいるから、とのこと。
それが理由で告白も断っているらしい。
長年共にいて初めて聞いた話だったが、そういうところも、モテる要因だと俺は知っている。


「満(ミチル)?どうかしたのか?」

悶々と考えていたら、マサトが心配そうに視線を寄越した。

「いや、何でもないよ。」

「本当に?具合が悪いなら、すぐに言うんだぞ?」

「はいはーい。」

まぁ、このあとに続くのは、「"はい"は1回でいい。」なんて言葉なので、割愛。



「はーぁ…。リア充なんか爆発すれば良いんだ…。」

切実に。
すれ違うカップル達を見ていると、自然と言葉が溢れた。

「…この時期になると、ミチルはそればっかりだな。」

今度は呆れた目を向けられる。

「そーか?」

自分ではそんなつもりなかったんだけどな。


「…ミチル、そんなに人の幸せが許せな「違っ!…なんだろうな?多分、恋人が欲しいんじゃないのかな?」

自分でもよくわかんないけど、と付け加える。


「…それなら、」

「ん?」


マサトの次の一言が俺達のこれからを変えるなんて、露知らず。





「俺と、付き合ってみるか?」





暮井(クレイ)ミチル、高校2年生の冬の話である。



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