T
□雨色
1ページ/2ページ
梅雨なのか最近はずっと雨でオレの気分は憂鬱だった。
雨は嫌いだ――服が濡れるし、髪がいつも以上にはねるし。
兎に角、雨の日は良いことは一つもなかった。
「うーヒバリさん。雨降ってますよ…」
「今に越したことじゃないでしょ」
そうですけど、と言って窓越しに外を見るとやっぱり雨だった。
それもさっきより強い雨。
「はぁ…憂鬱だ。――あ、ヒバリさん終わりました?」
「うん、終わったよ」
椅子から立ち上がり、書類を纏めるヒバリさん。
どうやら完璧に終わったみたいだった。
「綱吉、雨嫌いなんだね」
「そうですよー本当に、大嫌いです」
「なら、そんな綱吉にプレゼント。僕と相合い傘なんてどう?」
妖艶に笑うヒバリさんの言葉に否定出来る訳もなく、オレは頷いた。
雨は嫌いだけど、貴方と相合い傘出来るから、偶にならありだ、と思った日だった。
→あとがたり