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□帰還
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イタリア、旧ボンゴレ本部…
その最上階になる部屋で、都奈は静かに書籍を読んでいた。
ツ『もうすぐ一年、か‥』
元気かな…
都奈は書籍を読みながら、青い髪に青い瞳の青年を思い浮かべる。
『…姫様。』
ツ『あ…ごめん。なんか問題でも起こったの?』
『いえ…ただなにか考え込んでいらっしゃるようでしたので。』
ツ『考え込むってよりは、思い出してるの。』
そう言うと、人差し指で唇を辿り、小指を見つめる。
『思い出す…ですか?』
ツ『‥うん。』
一年前に交わした、あの約束を。
『はあ…』
そういう姫様の表情は、とても優しくて 儚げだった。
……
アイ『もう少しで一年だな…』
一年前、大切な約束を交わした女性の姿を思い浮かべる。
クリミアを去って早半年。マスターハンドの力を借り、都奈のいる世界に来てから三カ月。
アイ『都奈…』
もう少しで、会いに行くから…
心の中で語りかけ、静かに歩を進める。