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□帰還
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ツ『……』
アイ『親父は強かった…』
ツ『…ねえ、アイク。』
アイ『…どうした?』
ツ『辛いなら、溜め込まなくていいんだよ?お父さんの受け売りだけど…一人で受け止めることだけが強さじゃないんだから…』
そんなことしてたら、いつか壊れてしまうから…
ツ『話す事で楽になるんなら、いくらでも聞くから…ね?』
アイ『‥ありがとう。でも、これで十分だ…』
静かに都奈を抱き締め、温もりを感じる。
ツ『……』
都奈もアイクの背中に手を回し、抱き締め返す。
日『……』
日番谷は扉の横でもたれかかりながらそれを聞いていた。
ノックしようとしたら話し声が聞こえたので、咄嗟にこの行動をとったのだが…
日『…はぁ。』
都奈の成長は嬉しく思うが、同時にアイクの苦しみも感じ取れ、なんとか助けてやりたいと思う。
日『とりあえず、中に入るか…』
ドアをノックし、部屋に入った。
ツ『!お父さん…』
アイ『日番谷さん…』
日『そんなに慌てなくていい。』
俺が入った途端、慌てて離れた二人に苦笑する。
日『アイクは、いつ来たんだ?』
アイ『昨日の深夜です。』
日『そうか…』
チラリとベッドの方に目をやると、シーツがクシャクシャになっていた。
ツ『……』
都奈を見ると真っ赤になって目を逸らした。
日『‥まあ、何にせよ良かった。』
こちらを穏やかな優しい目で見てくる日番谷さんに、微かに気恥ずかしくなる。
正直に言って一発ぐらいは殴られるだろうと覚悟していただけに、意外だった。
日『都奈‥少し席を外してくれるか?』
ツ『あ、うん…』
都奈が部屋から出て行き、沈黙が支配する。
アイ『…あの、『…俺にも覚えがあることだ。』‥?』
日『気にするな。誰にだってある。都奈は嫌がってなかったんだろう?』
アイ『あ、はい…』
日『なら、俺がとやかく言う問題じゃない。ただ、大事にしてやってくれ。』
アイ『はい…』