short

□帰還
7ページ/8ページ

ツ『……』

アイ『親父は強かった…』

ツ『…ねえ、アイク。』

アイ『…どうした?』

ツ『辛いなら、溜め込まなくていいんだよ?お父さんの受け売りだけど…一人で受け止めることだけが強さじゃないんだから…』

そんなことしてたら、いつか壊れてしまうから…

ツ『話す事で楽になるんなら、いくらでも聞くから…ね?』

アイ『‥ありがとう。でも、これで十分だ…』

静かに都奈を抱き締め、温もりを感じる。

ツ『……』

都奈もアイクの背中に手を回し、抱き締め返す。

日『……』

日番谷は扉の横でもたれかかりながらそれを聞いていた。

ノックしようとしたら話し声が聞こえたので、咄嗟にこの行動をとったのだが…

日『…はぁ。』

都奈の成長は嬉しく思うが、同時にアイクの苦しみも感じ取れ、なんとか助けてやりたいと思う。

日『とりあえず、中に入るか…』

ドアをノックし、部屋に入った。

ツ『!お父さん…』

アイ『日番谷さん…』

日『そんなに慌てなくていい。』

俺が入った途端、慌てて離れた二人に苦笑する。

日『アイクは、いつ来たんだ?』

アイ『昨日の深夜です。』

日『そうか…』

チラリとベッドの方に目をやると、シーツがクシャクシャになっていた。

ツ『……』

都奈を見ると真っ赤になって目を逸らした。

日『‥まあ、何にせよ良かった。』

こちらを穏やかな優しい目で見てくる日番谷さんに、微かに気恥ずかしくなる。

正直に言って一発ぐらいは殴られるだろうと覚悟していただけに、意外だった。

日『都奈‥少し席を外してくれるか?』

ツ『あ、うん…』

都奈が部屋から出て行き、沈黙が支配する。

アイ『…あの、『…俺にも覚えがあることだ。』‥?』

日『気にするな。誰にだってある。都奈は嫌がってなかったんだろう?』

アイ『あ、はい…』

日『なら、俺がとやかく言う問題じゃない。ただ、大事にしてやってくれ。』

アイ『はい…』
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ