番外編
□黒子と甘い夜
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突然ですが、私は黒子くんが怖いです。
「ちょ、ちょ…嘘でしょ?!」
「嘘だといいですね」
「嘘じゃないですね!」
「はい、現実です」
黒子くんに誘われて探索に行ったのは良かった。初めて黒子くんを見た時意識をしたから、つまりいるものなんだと思って見ていたから見えたけど、気を抜くとどこにいるかわからなくなる。
…案の定、いつの間にかいなくなっていた黒子くんを探していると、沢山のゾンビを引き付けて帰って来た。
「って、何でバケモノは黒子くんを見付けられたの?!」
「耳じゃないですか?僕は幽霊じゃないんで足音とかしますからね、普通に」
「冷静に物事言うのやめてくれる?!」
「何故ですか?僕戦えないんで体育館に逃げ込みますよ、そしたら赤司くんが何とかしてくれます。」
「まさかの人頼み…!」
それまでもつかわからないけどね。今4階ですよ、黒子くん。
「えりなちゃん!」
「きゃ…な、に?」
手を引っ張られて連れ込まれた場所は、トイレだった、しかも、男子トイレ。
「な、んてとこ連れ込むのよ…」
「すみません、ここならバレないと思ったので。……それに」
「ん?」
「興奮しませんか?」
「しませんよ?」
何を言い出すの此奴。興奮?なぜ?小学校の男子トイレに行って何で興奮するの?
「えりなちゃん、こっちに来てください」
手を引いて個室に入れ込まれて鍵を閉められる。というかいつからえりなちゃん呼びだった?別にいいけどさ。
「座って下さい」
蓋の閉まっている洋式の便器に座ると、
「ちょ…?!」
両足を膝裏から持ち上げてグイっと顔を近付けて来た。
「ほら、興奮しません?」
「し、ない…ぁ…」
否定をすれば首筋をペロっと舐めて「聞こえませんでした」なんて。
「なんで、こんな…」
「…わかりませんか?」
「わかってたら聞かないわ…」
そうですか、とボソっと言えば黒子くんはやらしく太ももを撫でながら唇に口付けた。
ゾクゾクする…
「好きなんです…えりなちゃんのこと」
「…え…あの…」
「別に今僕のこと好きじゃなくても構いません。好きになってもらうだけなんで。」
「な、に…ん…ん…」
真剣な目でこちらを見るから逃げ出せなくて、逸らすことさえ出来なくて。
ぐぐっと私に体重をかけて来るから、セックスしてる感覚に陥ってしまう。ふとももからじんわりと伝わる、黒子くんの体温。
それよりも、唇から伝わる熱。口内を荒らす熱。頬を撫でるゴツゴツとした手。
すべてがどろりと、理性を溶かして行く。
「ん…はぁ…ぁ」
「ん…えりなちゃん…」
吐息が、トイレに響く音が…
「テツ、く…ん…」
すべてが、興奮する材料。
「そんな顔で、名前を呼ぶなんてズルいです…」
「テツくん…ん…」
「もう止まりませんよ?」
「いい、よ…」
好きとか、そんな感情はないと思ってたのに。私を見つめる目からそらせなくて、湧き上がるナニカにときめいている自分がいる。
「テツくん…す、き…」
「ほら、ね…トイレって興奮するんですよ。」
甘い、甘い
「もうやめませんから」
スカートの中にある手を拒めない
「ん…は、ぁ…」
甘い、熱に
「……時間ならあります、もっと、もっと…愛してあげますね?甘く、甘く。」
───逆らえない
黒子と甘い夜
(熱くて甘い、貴方に溺れるの)