Mr.Wonder

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「むっくんとスタンプラリー?」

「うん、そー。」


涼太にスタンプラリーについて聞くとクイズ研が主催する出し物で、ふたりペアでクイズに答えながら校内を歩き回る物らしい。

…むっくんこんなの好きなの?


「なんで出たいの?」

「紫原テメー1位になる為とか言ったらぶっ飛ばすからな」

「はぁ?ちげーし、1位じゃなくて2位になりてーの、俺は」

「なんで2位?」

「2位はねー、まいう棒5年分!!」

「出よう、むっくんにまいう棒献上するために出よう」

「紫原っちまじ歪みねぇ」


なるほどなるほど、まいう棒5年分か。……5年分?!何本だよそれ?!1825本は少なくともあるってこと?持って帰れんの?なんでまいう棒5年分になっちゃったの?

いくらツッコんでもダメだって気付いたからやめようって思ってたけど、やっぱり学生が用意するものじゃないよね!


「それで1位の景品って何?」

「レブロン・ジェームズモデルのバッシュッスよ」

「何故クイズ研の商品がバッシュなんだよ、可笑しいだろ。まいう棒といいバスケ部狙いだよね?キセキ狙いだよね?というよりそうだよ」

「まぁまぁ、いいじゃないッスか!」

「いいけどさ…」


なんかもう色々斜め上に行く景品過ぎてどうしたらいいかわからない、私の突っ込みが追いつかない、するなと言うお告げかもしれない。そう思えてくるんだから2次元って不思議だよね。


「あー!夢咲さん見つけた!!」

「は?え?何?というか誰」


腕に実行委員と書かれたものを付けているお姉さんがこっちに走って来て「お願いがあるの!」と言われた。だから、誰


「こいつ、俺のクラスの山田」

「山田倖加(やまださちか)です!」

「は、はぁ…どうも」

「あの!!」

「な、なに…」

「…今からミスコンに出て下さい!!!」

「……………は?」

「えりなっちがミスコン…」

「えりちんがミスコン…」

「えりながミスコン?!」

「私が……出るの?」

「決定事項です!こちらへ!!」


中学校に何故ミスコンがあるの、どうして?なんでみんなに腕を引かれてミスコン控室などという場所にいるのかしら。


「これに着替えて下さい!」

「中学生なのにフォーマルドレス着る機会多くて泣けてきた」

「えりなっちなら似合うよ、絶対えりなっちをグランプリにするからね」

「えりちん任せて〜〜」


そう言ってにじむー以外は外に出て行ってしまった。なんという事でしょう。意味が分からない。……出るの?いいけど、楽しそうだし。


「で、なんでにじむーここにいんの」

「早く着替えろよ」

「ウイッス」


にじむーの前で着替えるの別にいいけどさー、ってぶつぶついいながら着替え終わるとすぐにメイクやらなにやらされてステージに上がらせられた。


「やることは、カラオケ、クイズ大会、トークショー、自己アピール、愛の告白です」

「最後可笑しくね」


誰に告白をしろと言うのか


「この人にしてもらいます」

「…なに…コイツ」

「帝光のマスコットキャラクター、ゆるキャラ、ひかリンです。」

「…一文字もカスってないね」


どんなのかは皆様のご想像にお任せしますが、私の初めての告白を、ゆるキャラに奪われるとか何事なんですか。


「…うわ」


携帯を見ると何十件ものの激励LINEが入っていた、征ちゃんなんて「何が何でもグランプリにするから」とか言っててグランプリ確定だなって思いました。

Twitterで涼太(公式Twitter)が【拡散希望】俺の親友がミスコンに出るんで夢咲えりなって子に投票して欲しいッス!もしグランプリになれたら俺からみんなにサインプレゼントしちゃうッスよ! とか言っててまじでコイツやばいって思いました。

この2人がいれば負けないのはわかったけど、愛の告白かぁ…


「夢咲さん本番よ、出て!!」


山田さんに言われて舞台袖からエントリーbRの札を付けてステージに出ていく。


『バスケ部でマネージャーをこなし、主将である虹村修造くんの右腕!ドッジボール大会で驚異の運動能力を見せてくれたのも記憶に新しいですね!才色兼備とはまさにこの人の為にあった言葉!!2年生夢咲えりな!!』


待て待て待て待て待て、なんだって?
紹介文長くね?才色兼備とかって、え?

そんなこと言われたことないですけど。


『では、一言どうぞ!』


マイクを渡されて観客を見る。

あらら…キセキににじむーにショーゴくんに…幸男くんたちに…和成?!勢ぞろい?!


『えっと、今連れてこられて何が何だかよくわからないし紹介文に一から突っ込みたいしで、頭が追いついてないんだけど、折角出るんだし!楽しんで行こうと思うので!!みんなも楽しんで行ってね!』


そういえばワーっと声援があがった、舞台なれしすぎな私が可笑しいですよね、緊張してないし寧ろ楽しいとか。

そのほかに10人くらいの美人さんたちがいて場違いな気がする、私おばさんだしさ。


『では初めにカラオケ!行きましょう!!』


この際だから言わせてもらおう、何歌うの?!


『課題曲は…自由!無理矢理連れてこられた夢咲さんは大丈夫でしょうか?』

『大丈夫な訳ないですね』


何歌えと。
私3人目だしどうにかなるか。


『採点機能を使い、その点数がそのまま持ち点となります。最終的に誰が一番よかったかインターネット投票をしてもらい、持ち点に加算され一番多い人がグランプリとなります。』


という説明が入ってすぐにカラオケになる。1人目84点、2人目88点…次が私か。


『夢咲さん大丈夫ですか?』

『余裕!』

『おお、さすがバンドやってるだけはありますねー。ではいってみましょう!!』


一番前にいるにじむーに目が行く『お前なら大丈夫』って口パク。当然でしょ。


『もう、自由だから』


気付いて欲しいことがあるの、


『輝いていたい』


……私、変わったと思わない?

全部、みんなのお蔭


『欲しかったものを、手に入れたのだから』





でも、みんなも私も壊れるまであと少し







7色とミスコン
(私はアイツから逃げられない)
(それを忘れていた)
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